誰々 公演情報 劇団5454「誰々」の観てきた!クチコミとコメント

  • 実演鑑賞

    満足度★★★★★

    面白い、お薦め。
    チラシにもあるがテーマは「役割」、同時に「立場」といった言葉を連想した。意識的であろうが無意識であろうが、人は或る状況下で色々な判断をする。その連続が生きていくこと と考えれば実に面白い着想の公演。分かったような分からないモヤモヤとした感情、劇団5454のコンセプトでもある「日常で見聞きする事物をテーマにして、誰もが無意識に受け入れている感覚を物語化」を見事に表しており、まさに劇団の真骨頂をみるようだ。

    タイトル同様、登場人物は姉・母や彼氏・彼女そして友達・先輩・後輩といった一般的な呼称を使っている。そこに誰もが持つ「役割」であり「立場」が透けて見えてくる。それは観客の誰にでも当てはまるものであり、共感しやすい設定が巧い。それを視覚的に分かり易くした舞台美術がよかった。演出も「役割」を着ている、その表現を上着を着ることによって場転換していく。お母さんの「ご飯食べた~」の台詞は、日常を示している。文字で表現し難い内面を演劇という役者の体現をもって観せた秀作。
    (上演時間1時間55分 休憩なし) 

    ネタバレBOX

    中央に演壇ポータブルステージ、その上にテーブルや椅子が無造作に置かれ または倒れている。ステージ上は白線で区切られ、その線上に杭のようなもの。天井から紐が垂れ下がっている。ステージの周りにもソファや椅子が置かれ倒れている。全体的に荒廃し殺伐とした印象。冒頭と最後はこの光景になるが、始まると主人公である姉が片付け始める。姉の心的拘束に耐えられず 家出した弟がスズランテープで自分の居場所を確保する。
    音響は泡のような不確かで不穏な音、照明はだんだんと狭まり または広がりを絶妙な諧調で照らし出す。

    舞台そのものが姉の心象風景であり、その変化が心情そのものを表している。物語は姉の視点または役割を担わされた人物の相対的な観点で展開していく。姉は物事に対して「こうあるべき」という思いが強い。例えば家族の中で長女の自分がしっかりしなければ、母は家で家事を、弟は男で跡継ぎだから、妹は まず大学を卒業して就職を といった役割を負わす。自分は同棲して実家にいないが仕送りはしている。

    また 友人との集まりでも必ず3人揃わないと会っている感じはしない。そして自分が飲み物を淹れるといった役割を担っている。自分で役割を担うことによって安心しているよう。姉の家族に対しての「役割」だけではなく、会社内では「立場」が人を作っているよう。新人(後輩)教育は誰がどのように行うのか。一方 新人はどんな雑用も引き受けてしまい、仕事の重要度・優先順位がわからない。先輩の叱責、逆に新人は頼まれなくなったら自分の存在価値が見出せないと、そこに立場の違いによって抱く感情が異なる。役割・立場の視座によって見え方・考え方が違うという妙。それを端的に表した姉と弟の会話ー人間は平面ではなく立体的で 色々な側面がある と。

    乱れた舞台美術を整理(配置)していく姉、性格的なものもあるだろうが 家族の中で母・弟・妹が担う役割、それを定位置として固定=拘束する行為となっている。意識的な行為、それが自分の家族内に彼氏を招き入れたことによって だんだんと居場所を侵食されていく不安。舞台が紐でだんだんと狭まっていく、自分にとって居心地の良かった場所が窮屈になっていく。家族という存在を借りた心象、少し離れたところから見守る父。姉は何かしなくては という自縄自縛から解き放たれるのだろうか。
    次回公演も楽しみにしております。

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    2026/08/02 11:55

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