血の婚礼 【劇団うつり座】 公演情報 劇団うつり座「血の婚礼 【劇団うつり座】」の観てきた!クチコミとコメント

  • 実演鑑賞

    満足度★★★★★

    初回の「糸地獄」以来、シニア・ワークショップから生れた劇団として基本観ているのだが(糸地獄はその特徴が横溢)、前作今作とそれを忘れて観ている時間がある。前作は篠本氏のリアが劇をリードしていたが、今回は全体として。もっとも今作は能の要素を用い、様式的表現が強かった(型の表現は年齢を必ずしも制約としない)。人物名を日本人名に換えても様式ごと飲み込める。
    「血の婚礼」。このスペイン産の作品は血に導かれた愛憎と破滅の物語は、遠いかの地を夢想させかつ人類学的興味をもくすぐるガルシア・ロルカの代表作で、「ベルナルダ・アルバの家」と共に日本の風土からは彼岸、極北の「あの世界」だ。
    篠本氏がこれを演出するとどうなるか、胸を高鳴らせて劇場に入ると、白い幕に囲まれた真四角な舞台平面の四隅に柱が立つ。能舞台が模されている事が知れる。人物らは摺り足で登場。歩く方向、会話で語る方向もリアルを避け、対面せずに対話を成立させる。様式に収まったこの表現の効果たるや多大で、婉曲表現が想像力を掻き立てる。人が交われば生じる場の空気よりも人物それぞれを焦点化して個体への観察が生じる。
    凡その筋は押さえていたつもりだが、決闘そして帰還に至るオーラスを失念していた。その後母の嘆きで劇は閉じられるが、改めてじっくり咀嚼するように台詞を味わってみると、最後の母の台詞による高揚がそこに至る言葉の積み上げによってもたらされている事や、話者それぞれが謳い上げる台詞が詩である事などに思いが至る。小さな金属の塊(ナイフ)が全てを奪う不条理を、渾身の力で静かに吐きつける言葉は、小さな顧慮だにされぬ者にも代わり世界に放たれる。

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    2026/08/01 08:57

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