公演情報
新国立劇場「20の物語 -週末を、劇場で-」の観てきた!クチコミとコメント
実演鑑賞
満足度★★★★
リーディング公演『ナディラ』
【作】アルフィアン・サアット
【演出】小山ゆうな
小山ゆうな作品は何かどうもイマイチだったがこれは傑作。今企画、最大の収穫。きちんと作品化して広く上演すべき題材。インドとパキスタン、敵対する二国間、国境も宗教も越えて人間を描く『バジュランギおじさんと、小さな迷子』、イスラエルとパレスチナの間を右往左往するリアルな人間模様、『テルアビブ・オン・ファイア』といった傑作に連なる作品。今を生きる若きイスラム教徒から見えている世界。用語解説の紙が配られるなど難解な印象を受けるが観れば痛快。作家の世界の見方が面白い。
シンガポールのマレー系作家・アルフィアン・サアットの2010年の作品。シンガポールに元々暮らしていた住民はマレー系のイスラム教徒。そこに中華系、インド系、ユーラシアン(欧州とアジアの混血)、プラナカン(中華系かインド系とマレー系かインドネシア系の混血)が加わり多民族国家へとなっていく。現在、公用語とされる言語も英語、中国語、マレー語、タミル語の4つ。宗教も仏教、無宗教、キリスト教、イスラム教、道教、ヒンドゥー教など多種。多民族多文化共生国家なんて本当に可能なのか?
主演のナディラ役渡邊真砂珠(まさみ)さんは木村佳乃っぽい美人。大学のムスリム・ソサイエティの副代表。表情が時折、蓮舫になる。MVP。
お母さんサヒラ役は小島聖さん。声が鬼頭典子さんに似ていることに気が付いた。歌も印象的。
田中亨氏は随分痩せた印象。大学のムスリム・ソサイエティの代表役。マンチェスター・ユナイテッドのウェイン・ルーニーのファン。
ユーリック永扇(えいみ)さんはダレノガレ明美っぽい。ムスリムから無宗教に揺れ動く大学生役。
中村まこと氏は流石の味。クリスチャンの医師役。リヴァプールの熱狂的サポーター。
凄く面白い。全く異なる宗教(価値観)を信じる者達との共生へのヒント。
いずれはこの作家の特集上演など大きな流れになるであろう。日本人もこの現実から目を逸らしてはいられない。