血の婚礼 【劇団うつり座】 公演情報 劇団うつり座「血の婚礼 【劇団うつり座】」の観てきた!クチコミとコメント

  • 実演鑑賞

    満足度★★★★★

    面白い、お薦め。
    篠本賢一 氏が、ロルカの「血の婚礼」を慣習に縛られた日本の寒村で起こった悲劇にアレンジして描いた愛憎劇。物語の概要こそ原作を準えているが、その奥底にあるドラマは違った印象だ。

    見所は、日本を舞台にして慣習や道徳を解放と自由といった別の視点で浮かび上がらせるところ。もう一つは 足の運びに見る能の様式、和楽器による生演奏といった観(魅)せ聴かせる演出がすばらしい。
    (上演時間2時間10分 休憩なし) 

    ネタバレBOX

    舞台美術は、床と三方(奥と上手/下手)の暗幕に白布を重ね、所々に石柱らしきもの。中央にも石柱と骸(むくろ)らしきもの2つ、始めは抽象的な美術が、最後には そう連想できる。黒と白の重ね合わせは鯨幕のようだが、花嫁の帯と死(乞食の老婆)のマントが赤色。そこに別の意味が込められているよう。

    舞台は 日本/東北地方の寒村。梗概は原作を準えている。婚約した男女が互いの家族の期待を背負い結婚式を迎えようとするが、そこに花嫁の昔の恋人 連太郎が現れ花嫁を連れ去ってしまう。が、まだ花嫁にも抑えきれない情愛があったのだろうか、たいして抗うことなく付いて行ってしまう。花婿は2人を追いかけ森の中へ…そして悲劇の結末 というもの。連太郎には妻と生まれたばかりの子がいる。なにより花嫁とは従兄妹同士である。血の宿命、燻り続けた果ての激情愛、地の因習<赤い糸 毛玉で表現>などが絡み合い重厚なドラマ。今の時代に圧倒的に足りない、生身の人間の剥き出しの熱情を舞台上から浴びる、そんな情熱的な作品だが…。

    痩せた土地を代々受け継ぎ、慣習・因習に縛られた家族。狭い土地柄、確執ある家族間でも婚姻せざるを得ない。婚姻を終えた花嫁を連れ去らうといった暴挙、それは道徳的な観点でみれば問題だろう。しかし理屈では割り切れないのが男女の情愛。設定を日本にしたことによって、慣習・因習といった閉塞感を分かり易くしている。そして一度は別れた男女の激情を通して物理的・精神的な解放・自由が浮かび上がる。一方、旧弊を象徴する花婿の母親の慟哭が痛々しく切ない。

    役者の演技は、一定の距離を置き顔を合わせない。それは寒村という家と家の間の距離があること、同時に本心を表さない心の隔たりを示しているよう。動きも直線が主で、向きを変える場合は直角を描く。すり足に この動きは能の様式そのもの。型に嵌まったようだが、花嫁と連太郎の激情は型から外れた動き。そこに物語と連動した演出・演技を観るようだ。そして和楽器の演奏が 情景と心情をしっかり立ち上げる。
    次回公演も楽しみにしております。

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    2026/07/26 09:18

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