「水平線の歩き方」【Mura.画】 公演情報 Mura.画「「水平線の歩き方」【Mura.画】」の観てきた!クチコミとコメント

  • 実演鑑賞

    満足度★★★★

    面白い、お薦め。
    公演は 「Mura.画」の演劇研究会として2回目の上演。前回の研究会も成井 豊の作品で、丁寧な演出が印象的だった。本作の演出は 爽口穂夏さんで やはり素晴らしい。成井作品の面白さ-滋味溢れる内容、それを見事に描き出していた。

    作品の肝は 世界観にある。どうしてという不思議さ、何故という謎をどう演出するか。物語に明確な前半・後半があるわけではないが、或るシーンを境に雰囲気がガラリと変わる。それまでのユーモアを交えた明るい話が、悲嘆にくれた落涙へ。研究会公演ということもあろうが、成井ワールド( 演劇集団キャラメルボックス)を忠実に表現した手堅さが観てとれる。
    (上演時間1時間10分)【A】㊟ネタバレ

    ネタバレBOX

    舞台美術は、上手にソファーと変形楕円のテーブル、下手に飾り棚で中段にラグビーボールが置かれている。中央に玄関に通じる出ハケ口、下手にダイニングに通じる通路。最後に分かるが、このシンプルな造作に意味がある。

    物語は説明にある通り、 或る夜、自分のアパートに帰ると、部屋に女がいた。 どこかで見た顔でアサミと名乗った。 それは、幸一が小学6年の時に病気で亡くなった母。 親子二人で暮らした日々が、幸一の脳裏に鮮やかに蘇る。 あの時 母は大人に見えた。 が、今 目の前にいる母は、明らかに自分より歳下だった……。 母が死んでからの自分の人生を語ってきかせる幸一。 アサミの弟夫婦に引き取られ、有名企業にラグビー選手として就職、怪我を乗り越えて現役選手(35歳)として活躍中、医者の恋人までいる。

    後半、話に綻びが見え始める。 止めたはずの酒の瓶が並び、恋人からの変な電話。 実は、半年前に試合で無茶をしたため、ステッキ無しでは歩けない大ケガを負い 自暴自棄になっていた。 飲酒運転の末に事故を起こし、昏睡状態になったまま魂だけが自宅に帰って、そこで死んだ母と再会した という話。 タイトルの「水平線」とは、死後の世界との境界のことで、その向こうはアサミのいる世界。 幸一が読んだ本の中に出てきた、ケルト 神話にある死者の島の話。理科教師の叔父は、幸一に あると思うと聞かれ「分からない」 と。逆に自分の得意とする科学から「水平線までの距離を知ってるか」 と聞き返す。 「死者の島」までの距離…幸一の母までの距離は約4㌔、歩いてだって行ける距離に死者の国はあって、そこに母もいるんだ と。

    一変、事実が明かされて緊迫した雰囲気へ。 自分1人で生きていくんだ、誰かに迷惑をかけて生きていくなら死んだほうがマシ。 その幸一の耳に 家族・恋人・友人からの、「帰って来い」という言葉。彼岸と此岸の狭間、だからこそ幽霊の母と会い話をしている。 料理があまり上手でなかった母、しかし おじやだけは美味かった。最後に作ってあげたおじや、食べ終わったら皆のところへ帰る息子に、母が一言。 「本当は時々見ていた」 「声も掛けてた」 「聞こえなかったのなら、もっと大きな声で言うね」 これからも「頑張れ」って、そして生きろって言い続けると。自分1人で生きてきたつもりになっていたが、実は周りの人々に助けられていた。それがオープニングの全員でのダンスにも表れているよう。
    次回公演も楽しみにしております。

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    2026/07/25 08:52

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