あきらめて明日 公演情報 青春事情「あきらめて明日」の観てきた!クチコミとコメント

  • 実演鑑賞

    満足度★★★★

    何となく生き、時だけが流れていくような、そんな惰性の暮らしに意味を見つけようとする物語。そこに緩いSFファンタジーといった要素を纏わせ、意味なんてそんなに重要ではない、生きていることが大切だと。「青春事情 Presents 群青劇シリーズ vol.1」…どこにでも居そうな人 ありそうな様相を坦々と描いているが、観ている人の心を満たしてくれる好公演。

    明日こそは充実した日を過ごそう、そう願い足掻いている姿に微笑む。それは人の不幸を見て喜んで というよりは立ち止まり、彷徨いながら必死に生きていることへエールを送るような気持ち。どんなに悲しく辛く、そして挫折しても時は流れていく。過去に囚われていては…タイトル「あきらめて明日」は、拘りを捨てることによって 前を向く といった応援歌のよう。
    (上演時間1時間20分)

    ネタバレBOX

    対面客席、中央に白い箱馬がいくつかあるだけ。その箱馬の配置を変え、積み重ねることによってリビングやコンビニのカウンターに見立てる。パンフにある登場人物も「青年」「父」「同僚」といった普通名詞で、人の名前ではない。そこにどこにでもありそうな(一般的な)物語といったことが読み取れる。情景や状況は箱馬の配置だけではなく照明の微妙な明滅/諧調によって表す。

    リストラされた父が或るセミナーに通い、コンサルに儚い夢物語を聞かされた挙句 自死し、今 幽霊となって青年(息子)と話している。父亡き後、大学を辞めコンビニでバイトで生計を立てている。コンビニは人手不足、店長は気の休まる時がない。女子大生の同僚は遅刻や欠勤が多く、シフトの変更が大変。そんな時起きた万引き、その犯人の独特の雰囲気や嚙み合わない会話が妙。

    人は少し先の未来が知りたい、この先 自分はどうなるのか。セミナーのコンサルがコンビニ店長の諸々の相談に乗っているシーン、一方コンサルの彼女が占い師に占ってもらっているシーンがシンクロする。この2組の会話が物語の肝で、相手を騙すか寄り添うかといった違いが鮮明になる。足元を見つめたリアルな光景、そこに万引き犯の達観したような言動が違う意味合いをもって響く。宇宙(出来事)から見れば店長の悩みなんて という壮大な世界観へ。

    物語には、スマートフォンやインターネットといった利器は使わず、対話・会話で紡いでいく。声はあふれているが本当に相手に届いているのか。物語には不器用な人々が語り合う といった生きていく上で大切なことが描かれている。
    青年の頑なさ、バイト同僚の陽気さ、占い師の妖しさ、コンサルの怪しげさ、店長の焦燥、父の見守り、コンサルの彼女の不安そして万引き犯の不思議 といった各々の人物像が世間の誰かと結びついているよう。そこに普遍性ある物語を感じる。
    次回公演も楽しみにしております。

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    2026/07/19 09:43

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