マクガフィンを待ちながら 公演情報 ゴセキカク「マクガフィンを待ちながら」の観てきた!クチコミとコメント

  • 実演鑑賞

    満足度★★★★

    近未来の不思議な物語、しかしその奥には人の複雑な思いが見え隠れする。本人とクローン、<記憶>まで受け継いだら そんな複雑で微妙な思いが静かに揺れる。捉え方によっては、クローンを通じて記憶の中にある思(想)い=確執の氷解どころを探しているようだ。案外それが〈マクガフィン〉だったりして。

    人の心は得てして多面的で、時々の心境の変化で異なった思いをする。本作は、記憶に謎を絡ませており、登場人物の繋がりに深みを持たせている。この謎が分かったようで分からない、そんな曖昧さが記憶に重なる。

    現実には、まだクローンを身近に受け入れていないが、物語では日常の延長として描いている。書類上の手続き等も描かれているが、あくまで〈心情〉を抱きしめた公演。観応えあり。
    (上演時間1時間30分)

    ネタバレBOX

    舞台美術は、会場の特徴である正面のカウンターを活かしたカフェ。カウンターの上にあるミニ本箱に置かれている絵本。中央にテーブルと椅子、上手に机と椅子。下手に飾り棚。シンプルな作りだが物語を紡ぐには十分。時間の流れは、照明の諧調や衣裳替えで表現する。

    カホ(祖母)、里佳子(母)、美生(孫)の三世代の女性が紡ぐ記憶の話。カホの葬儀のため実家に戻ってきた里佳子と美生の親子。そこへクローンを扱う団体の若林が訪ねてくる。カホはクローンを嫌っており、何かの間違いではと訝る2人。そんな2人の前にカホを名乗る若い女がやってくる。今度は戸惑う2人を尻目にカホと名乗る女が居つく。女の正体を探るため思い出話をするが、いつの間にか懐かしさがこみあげ 親近感を抱き始める。

    カホは人が亡くなっても クローンによって それまでと変わらぬ日々が耐えられない。不遜のように思え、人のアイデンティファイはどうなるのか、といった素朴な疑問を持っている。一方この店の常連客 大塚広大は亡くなって 今は彼のクローンがやってくる。大塚は死ぬのが怖くクローン生成を行ったと。人の思いや考え方は千差万別、もちろん記憶もそうなのだがクローンによって記憶まで共有できてしまう。カホと里佳子の長い間の確執はクローンを巡っての対立。里佳子はクローン生成に携わっており、若林との会話から それとなく分かる。何故 カホがクローンを受け入れたのか、そしてカホと里佳子がいずれ美生にも話さなければ といった意味深な会話が関心を引く。

    里佳子と美生は既に亡く、今いるのは彼女たちのクローンでは?と想像した。大切な人にもう一度会いたい。カホは今までの考えを翻し2人のクローンを望んだ。人としてのカホと里佳子はクローンの在り方で対立したが、クローンの2体は記憶の中での対立はあるが、今の在り様から受容は早い。曖昧な感情は、その時々で変容する そんなシュールさを思わせる公演。
    次回公演も楽しみにしております。

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    2026/07/05 12:06

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