ディアマイドクター 公演情報 演劇ユニット「暇つぶしチェルトン」「ディアマイドクター」の観てきた!クチコミとコメント

  • 実演鑑賞

    満足度★★★★★

    面白い、お薦め。
    脚本・演出は勿論、ミュージカルと謳っているから歌も見事。
    公演は、当時(明治期)の状況や風潮を背景に 初めて医師免許を取得した3人の女性たちが、どうして医師免許を目指したのかを描いた 虚実綯交ぜのフィクション。物語は、3番目に医師免許を取得した高橋瑞をモデルにした高水せい を中心に、彼女たちの生い立ちや性格などを描き、女性にとっての閉塞感を浮き彫りにする。誰もがそれぞれの事情を抱えながら今を必死に生きている。無情な不条理に叫ばずにはいられない。

    彼女たちが受けた体験や仕打ちが、医療(対象患者)に対する違いを鮮明にする。それでも台詞にある「道は違えども、すべては患者さんのために」、その精神は現代に通じるもの。現代といえば、3人が医師になってから起きた感染症の大流行、それをコロナ禍と重ねることで、いつの世の人の心の在り方を巧みに織り込む。
    (上演時間2時間15分 途中休憩10分)【B】

    ネタバレBOX

    舞台美術は、段差を設え 左右非対称の壁。それが古色蒼然としており当時の雰囲気を漂わせている。また 衣裳やサーベル等の道具にも時代を感じさせる拘り、その丁寧な作りに好感。舞台技術の照明も柔らかく、丸みを帯びた光の中で人物が生き生きと映る。そして無人のときは美しい光景として印象付ける。

    没落士族の家に生まれた 高水せい(一役2人〈青年期・中年期〉)、子供の頃から好奇心が旺盛で知識欲もあった。しかし 女に学問は不要で 早く良縁に巡り合い嫁になること。そんな時代閉塞に不満を募らせる。いつしか 人の命の大切さ、それを出産の手伝いをすることによって知る。同時に医療行為は出来ないという現実にぶつかる。

    荻野 吟子(女医1番)モデルの萩原ギン子は、夫のせいで不妊になった。当時は男の医者しかおらず辱めを受けるようで受診しなかった。彼女が対象にした患者は女性や子供といった弱き者。生沢 クノ(女医2番)役の吉沢クノは、精神疾患の患者を死なせてしまい医療行為に自信を失っていた。高水せい は、性別や年齢に関わらず困っている人。3人の生き様と医療への考え方の違い、それでも互いを認め合う。そんな高く深め合う姿が尊い。

    男社会や家制度、今でいうパワハラ・セクハラといったハラスメント問題を点描する。その生き難い時代にあって、人間らしく生きたい、人の役に立ちたい といった熱い思いを歌で表現する。台詞という直接的な言葉ではなく、歌の歌詞にのせて しなやかに 強かに しかも情感豊かに表現する。そこにミュージカル劇としての真骨頂がある。

    明治30年代に流行したペスト、その対応に奔走した女医たち。それを令和のコロナ禍に重ね、疫病に対する庶民の無理解が不安や不寛容を煽り増長させる。公演では、生き方や社会との向き合い方、それを 明治という150年ほど前の出来事を今に生きる我々にも分り易く伝える。その意味では一種の教育劇のようでもある。
    次回公演も楽しみにしております。

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    2026/07/04 16:02

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