優しい劇団の大恋愛 Volume11『もっと愛してくれよ節』 公演情報 優しい劇団「優しい劇団の大恋愛 Volume11『もっと愛してくれよ節』」の観てきた!クチコミとコメント

  • 実演鑑賞

    満足度★★★★

    「優しい劇団の武蔵野演劇祭2026」最終日の『もっと愛してくれよ節』。優しい劇団の大恋愛シリーズはいずれもですが、俳優の身体だけで舞台上にあるこの企画の魅力が強く発揮されていました。

    ネタバレBOX

    舞台奥に閉まるシャッターや、2階席と地続きのバルコニーなどを俳優が使用し、吉祥寺シアターの縦に高い空間を、がらんと空洞にすることなく上に伸ばしていました。黒い空間に人が、下から、上へ、行き来し、空を見上げる。そこに打ち上げられる花火は高く、その先には真っ暗な宇宙が広がっていて、きらりと星が光る……そんな、劇場が宇宙に繋がっているような感覚。とくに新しい吉祥寺シアターの使い方ではないのに、人間の身体で宇宙を作りだすカタルシスをうんだ劇場での表現に、驚きながらも心地よく吸い込まれました。

    総勢20名の登場人物はいずれも力強く見ごたえがあり、俳優皆さんの力量の高さを実感しました。
    基本的には誰もが優しい劇団の演技スタイルを用いているため、出会ったばかりとはいえバラバラ感はなく、役者の「個を出そう」という力に引っ張られすぎることなく、作品としてまとまっていて充実感があります。一方で、数日~数か月かけて擦り合わせた作品ではないにも関わらず、俳優それぞれの個性がそこまで出ているわけではありません。それが大恋愛シリーズの特徴とも言えますが、続けた先にどう発展してくのだろう…という疑問もよぎりました。
    けれどその変わらなさが「優しい劇団的」であり、今回の「演劇祭」という設定と合っているのかもしれません。またCoRich舞台芸術まつり!応募文の「将来のビジョン」にある〝名古屋旅行の目的になる〟という目標にも合致していると思いました。
    1日で異なる地域の俳優が集まり作る創作方法・上演形態は、作り手にとって希望を打ち出せています。出会うこと、向き合うこと、立ち会うことで生まれる本シリーズの魅力を思えば、客席には演劇関係者(俳優)が多いように感じられたことも納得です。

    それらが観客にとっても希望になるかは強く断言できません。が、ひとつ作品として大きな発展の希望を感じたのは、1年前の同シリーズと比べて尾﨑優人さんの脚本の言葉が洗練されていたことと、劇団メンバーたちの佇まいが座組のなかで安定感を見せたことでした。
    とくに、複数のペアが愛を交わす設定のなかで、ストレートな表現ではなく、「きっとそれは愛なのだ」と感じられる一人語りに自然と引き込まれはっとする場面がいくつかありました。

    この大恋愛シリーズにしかできない貴重な試みのほか、優しい劇団としてほかにどういう企画をどういうバランスで打ち出していくかで、団体の今後が大きく変わるだろうなとわくわくしています。

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    2026/07/02 13:47

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