京王 公演情報 D地区「京王」の観てきた!クチコミとコメント

  • 実演鑑賞

    満足度★★★★

    会話劇として、言葉や、人と人のあいだに流れる空気を味わえる舞台でした。
    開場時に案内の方が、最前列の席の観客の足ギリギリまで「ここまで俳優が来るかもしれないので」というような案内をされていて、その時は「ひえっ、ちかっ!」と思ったのですが、それがどうして、その近さが良かったです。

    ネタバレBOX

    SCOOLの白い空間がまた、引っ越しの解放感や窓からの景色の良さなど新生活を感じさせ、会話の内容とあいまって、その清潔感が取り繕ったようでもありました。色づかいや音などの効果もあり、のぞき見しているというより、自分も部屋に存在する一部であるような距離感でいられたことが、作品の空気を自分事として感じやすい空間でした。

    配役とその衣装が心地よく、7Aさん(リリー)の醸す空気と佇まい、織内傑作さん(ブラック)の重さと軽さが同居する受け答えは、空気の機微を楽しみ、ふたりの関係性の変化を想像させます。木村建太(ヘドウィグ)さんの登場で変化ががらりと起こるけれど、そこでのブラックの過剰過ぎない右往左往感が身につまされました。

    人がうみだす変化を感じられるからこそ、上演回によって印象がかなり異なっていたと知って驚きました。「笑いが多い舞台だった」という声も聞きましたが、私の観た回は笑いは無く終始落ち着いた雰囲気でした。 リリーとブラックは初めから互いに腹に一物あるような、そもそも愛情ではない繋がりで同棲しているように見えたため、二人の未来にとくに宗教観が影響しているようには思えず、最後のブラックの台詞に大きな納得感がありました。と同時に、前半と後半に落差があればよりそれぞれの背景の対比や時間の流れが際立っただろうと思い、笑いがあった公演を観たくなりました。
    観客やその日のコンディションにより、台詞のもたらす意味や作品の解釈が変わることはありますし、それは演劇の面白さのひとつでもありますが、変化によって物語の芯や密度にも差がうまれているようでした。

    そんなわけで、私の観た回を振り返ると宗教二世という人物背景は作品における意味づけが薄く物語の設定としては少し浮いているようにも感じましたが、そのことは私個人の宗教二世としての経験もあり、好ましくもありました。あくまで各家庭の持つ背景であり、その差異が「新しい家庭・コミュニティ」を作る時に浮彫になったという、誰もがいつか直面する生き方の再構成についての物語として心強く感じました。

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    2026/07/02 13:47

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