サイモン・ヘンチの予期せぬ一日 公演情報 古川オフィス「サイモン・ヘンチの予期せぬ一日」の観てきた!クチコミとコメント

  • 満足度★★★

    2度観る羽目に・・・
    私は、この公演、2月1日と4日、2度観ました。というのは、最初に観たとき、途中で集中力が切れ、クライマックスで居眠りをしてしまい、肝心の内容を把握できなかったものですから。寝てしまったくらいですから正直あまり面白いとは思わなかったのですが、ラストが気になり、再演の機会も少ない作品だと思ったので、やむなく2度足を運んだというわけです。
    2月1日は客席が半分くらいしか埋まっておらず、開演前、スタッフが顔見知りの客に「うんと笑ってくださいね」と声をかけていたがシーンと静まりかえって笑いもおきず、うっかりバッグを触っただけで前の席の人に「静かに!」と注意されてしまった。千秋楽はさすがに8割くらいは埋まっていたようですが、興行成績としては低調な結果に終わったといえそうです。
    やはり、こういう地味な翻訳作品は見せ方が難しいのでしょうね。戯曲としては興味深いのですが。
    2度目は幸い眠気にも襲われず、1日の回よりテンポもよくなっていて要所要所で笑いも起こり、日によってこうも客席の反応が違うものかと驚きました。
    1度目は当然カーテンコールがあると思わせる雰囲気でしたが、2度目は千秋楽なのに、「公演はすべて終了しました」というアナウンスが流れ、いっこうに俳優が出てこなかったので、出てしまった客もいました。ちょっと不思議でしたね。

    ネタバレBOX

    クライマックスというのはサイモン(辰巳琢郎)の妻(黒田福美)が戻ってきて、サイモンと自身の不倫のことで口論となる場面。やはり、2度観てよかった。黒田さんは韓国通として知られ、最近はワイドショーのコメンテーターとしての印象が強いが、このベス役は血が通い、台詞のひとこと、ひとことが観る者にしっかりと伝わり、つかみどころのないサイモンの人間性をも浮き彫りにしてくれた。若き日の稲野和子さんを思わせる名演技でした。この場面を見逃しては何にもならなかったと思います。
    貞淑で自慢の美しい妻の不倫に気づかぬふりをしてきたサイモンは、すべて周囲の物事を自分の都合のよいように解釈することで取り繕っているという虚像を妻が暴く。サイモンは不倫の相手が自分が小ばかにしていた男、レッドだと知ってショックを受ける。子供をほしがらなかったサイモンに対し、妻は妊娠を告げて出て行く。
    サイモンは登場したときは、優柔不断な好人物に見えるのだが、実は“結構な過去”と意外な一面を持つ男で、それでも腹黒いとまでは言い切れない、無作為の悪意みたいなところもある難役。能動的ではない主人公なだけに、次々に登場人物をうまく受け止めて、テンポを作っていかねばならない。ハンサムで一見好人物でおとなしそうな辰巳さんには合っている役かもしれないが、滑舌がよいとは言えず(2日とも同じところで舌が回らなかった)、演出がメリハリなくのろいせいか、会話部分が非常に退屈に感じられた。だから、黒田さんの登場まで集中力がもたなかったのだろう。久我美子夫君の故・平田昭彦、石田純一、辰巳琢郎は「3大インテリ人畜無害の美男俳優」と、私の父が名づけたのだが、今回の役を観てなるほどなーと思った。
    少し脚色が必要だったのではと思う。開演1時間20分くらいまで妻が登場せず、平板な会話でつなぐにはつらいものがあった。
    サイモンの兄の中西良太さん。若いころに観たきりだったが、今回の役が熊倉一雄さんそっくりでなかなか面白く、驚いた。サイモンの兄の同級生(モロ師岡)、友人ジェフ(上杉祥三)がスパイスになっていた。サイモンを誘惑するジェフの愛人デイヴィーナはWキャスト(武田優子、会川彩子)とも観たが、巨乳美女という設定どおり、お二人とも魅力的な肢体でした。間借り人のディヴ(小林賢治)。ラストにサイモンにダメージを与える役だが、台詞が上滑りに聞こえ、声も小さく大きな劇場での演技がまだ身についていないようで、サイモンとの対比が出るところまでいかない。
    舞台美術が上手後方で観ないと窓の向こうの遠景が見えず、見えないとだいぶ趣が違ってくる。それに気づいたことも、2度観たメリットだったかもしれない。




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    2011/02/08 15:35

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  • name様

    コメントをいただき、ありがとうございました。こんな拙いレビューでも読んでくださるかたがいるなんてありがたいことで、大変嬉しく思います。
    サイモンは兄に「ベスの浮気の相手はレッド」と聞いても「あんなやつとまさか・・ない、ない、絶対無い」と内心思い、ハナから取り合わなかったのが、妻自身の口からその名を聞いて相当ショックを受け、さらに妻がレッドに満足して結婚を考えていることにさらにショックを受けたんですね。でも、「どちらの子供?」と聞かれ、「それが問題なのよ」と去っていったのは、レッドはそんなことは問題にしないほど、ベスのすべてを受け止めてくれたんでしょうね。

    私も1度目を観たときは、あまりに退屈で唖然としました。1時間ほどでグッタリしてしまい、眠気には勝てずお恥ずかしい限り。2度目で少しは気を取り直しましたが、たしかに脚色してほしかったですね。終始淡々とした会話劇は、日本人にはなじみにくいところが多くて・・・。


    >ディヴ君役の彼は、ドアを開けた瞬間の所作で、私は興味を失ってしまいました。

    ああ・・・(笑)。大勢出てくるガヤガヤした芝居なら多少ごまかしもきくのでしょうけど、登場人物の少ないあの芝居では無理がありましたね。

    2011/02/08 19:58

    あぁ、サイモンはレッドを小馬鹿にしていたから、
    相手がレッドだったから驚いたんですね。
    それだけ分かりませんでした。ありがとうございます!
    モロさんの出ていらしたシーンは、さすが!のスパイス具合でしたね。

    翻訳ものとはいえ、あの言い回しはもう少し脚色できなかったものでしょうかね…。
    一緒に観に行った若い子が、慣れなくて飽きてしまっていました…。

    ディヴ君役の彼は、ドアを開けた瞬間の所作で、私は興味を失ってしまいました。

    やはりきゃるさんのコメントは私の腑に落ちる内容で、感嘆いたしました。

    2011/02/08 18:06

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