ニーナ 公演情報 東京演劇集団風「ニーナ」の観てきた!クチコミとコメント

  • 満足度★★★

    全体的に良くも悪くもクラシカルな印象
    チェーホフの『かもめ』の登場人物の15年後を描くという、とても魅力的なコンセプトの作品。
    基本3人芝居。

    ネタバレBOX

    ニーナを巡る2人の作家の物語。

    チェーホフの『かもめ』のラストから15年後、そこに設定したのには、訳があった。つまり、ロシアの2月革命が起こった年であるからだ。
    ルーマニアからフランスへ亡命した作家の手による作品なので、この舞台の背景にある2月革命の足音に対しては、ある種の感情があったのではないだろうか。

    それが雪に閉じ込められた家にいる3人と、さらに凍った兵士に込められていたように感じた。
    すなわち、「溶けるのは100年先」という台詞にもあるように、3人の不思議な関係と、それを取り巻く雪に代表される、避けることのできないモノ。世界を覆い尽くそうとしているような、革命の影。
    その不気味さが凍った兵士にさらに象徴されていた。

    ただ、観ていて感じたのは、「ニーナはこんなにエキセントリックだったのか?」ということだ。さらに言えば、「なぜ、『かもめ』のキャストが必要だったのか?」ということだ。

    自殺したはずのトレープレフを生き返らせてまで(2回目の自殺も未遂という設定)、このキャストたちが必要だったのだろうか。観客にとって、登場人物をすぐに認識しやすいということなのだろうか。そして、なぜニーナはわざわざトレープレフのもとに戻ってきたのか、ということもある。
    それが最後までどうもすっきりしてこなかったのだ。

    「15年後に私はこの場所に帰ってきた」みたいなモノローグで幕開けし、説明的な台詞&モノローグが挟まりつつ、朗々と歌い上げるように台詞を言うニーナなど、とてもクラシカルなつくりになっていた。
    さらに、時間とニーナの揺れ動く心の象徴のような、舞台中央の振り子や説明的(情緒的)な音楽の選択も含めて、この作品の世界が作られていたと言っていいだろう。
    それは、演劇であることを強く意識させるのだが、心地良さもあるのは確かだ。例えば、ニーナの台詞回しは、役者にとって気持ちのいいものではなかっただろうか。どうやらそれは観客にも伝わってきた。

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    2011/02/08 07:06

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