音楽演劇「光かもしれない」 公演情報 エリア51「音楽演劇「光かもしれない」」の観てきた!クチコミとコメント

  • 実演鑑賞

    満足度★★★★★

    オリジナル楽曲のバンド演奏と俳優の身体表現を同じ地平で立ち上げること。これが、エリア51が標榜する「音楽演劇」の形です。しかし、そこには、単なるジャンルの融合や横断だけではなく、観客が劇場という場や観劇という機会に対して抱える緊張や不安をできる限り解そうとする、演劇におけるアクセシビリティやケアへの観点が忍ばされていました。

    ネタバレBOX

    日本において「劇場」という場所はまだまだ多くの人にとって緊張を余儀なくされる場所であると感じます。もちろん、その緊張感も時としては濃密な劇体験の一部ではあるですが、体質や体調など様々な事情を持つ観客にとってはその数時間が喜びどころか苦痛に感じられてしまう。
    そんな中で、本公演では飲食しながらの観劇やスマホでの撮影、ゆるやかな退場時間の設定や途中入退場がしやすくなるようなアナウンスと、状況や文脈が異なる他者とともに芸術や文化の喜びを体験する上での様々な工夫が凝らされていました。まるでライブやフェスに来た時のような体感で劇場での時間を過ごせること。そうした演劇公演が決して多くない中で、エリア51はこのフォーマットを追求し続けており、実際に多くの観客の方が前のめりかつ自由に楽しんでいる様子が伺えました。

    物語としては、人類が「旧人類」と呼ばれるようになった未来のお話で、旧人類である主人公がかつて深い友情を築いたアンドロイドを探し、ロボットと旅に出る、というスペクタクルな宇宙冒険譚でした。そこにギター、マリンバ、ベースの生演奏とボーカルの歌声が並走していて、時には演劇が詩的なMVのように音楽の魅力を引き出し、またある時は音楽が劇伴として物語に流れる変化や予感を引き立てたりと、効果的な相互作用を生んでいました。会場はいわば、音楽と演劇を相乗りさせた一つの宇宙船。そんな風にも思えてくるパフォーマンスでした。

    星を越えて紡がれる友愛を描いたこの音楽演劇は、圧倒的に異なる出自や背景や性質を持つ私たちが他者と生きていくことの困難と、それを越えた先にある喜びを伝えるものでもあったのかもしれません。同時に、アンドロイドやロボットといったAIとの共存という喫緊の社会現象を盛り込んだ劇作でもありました。そうしたメッセージを受け取るにあたって、音楽と演劇という異なる文化が同配分で混ざり合うフォーマットは理に叶うものであるとも感じました。

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    2026/06/23 15:40

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