ガラパゴス 公演情報 キルハトッテ「ガラパゴス」の観てきた!クチコミとコメント

  • 実演鑑賞

    満足度★★★★

    「中絶手術を終えた主人公・サチコの下半身がイグアナに変身しているところから始まる」というあらすじからも「女性の身体における意思決定がどう紐解かれていくのか」に期待を寄せて観劇に向かいました。

    ネタバレBOX

    「変身」というものは、カフカの同名小説しかり、様々なカンパニーや作家によって創作の題材とされているものですが、本作における「変身」は、そこに「意思」を伴うか否かということが常にセットで描かれているように感じました。もう少し踏み込んで言うと、セックスに始まり、妊娠、出産、そして中絶といった極めて私的で守られるべきはずの女性の意思決定が、公的な規範を揺るがすような論調で軽んじられることについて明確に「怒り」と「抵抗」を示していると感じました。そして、私はそのことに強い共感と好感を寄せました。

    サチコだけでなく、サチコの姉で家族のケアを余儀なくされているアキコや、男性社会の中でその医師(であり意思)に従わねばならない看護師のナスノ、シングルマザーのウオズミと社会で消費される様々な女性の姿に対し、私は等しく共感を寄せながら物語を追っていたように思います。
    前作ではあらゆる物語の中で希求され、消費される少女性に対する抵抗を感じましたが、本作ではその先に待ち受ける抑圧や消費にスポットが当てられていて、カンパニーや劇作家の「これを描かずして」という一貫した覚悟を感じる観劇でした。

    女性たちが車に相乗りをしてドライブする束の間の解放。そのシーンでJUDY AND MARY『Over Drive』が流れ、「夜に堕ちたら夢においで 宝物を見つけられるよ 信じてるの」の歌詞が重なった瞬間は思わず涙が溢れてしまいました。一方で、冷静になって振り返ると、パートナーであるユキオがサチコの車に轢かれてあっけなく死んでしまう展開や男性医師であるイシダのやや記号的な配置などを含めてどうしても男女の二項対立の構図になってしまう節もあり、もう少し希望を見出したいという思いもありました。

    しかしながら身体の構造的にも侵入される側であり、妊娠、出産、そして中絶を経験し得る身体を持ちながら生きていく中で、私個人はどうしても女性たちの怒りに肩入れしてしまう部分もあり、男性の死や記号化を軽んじている自分にも気付かされました。20代の若手劇団にとって本作が果敢な挑戦であることは言うまでもありません。それを全力で讃えつつ、今後の発展に期待を寄せたいと思います。

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    2026/06/22 02:43

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