せかいをみてくる 公演情報 アンティークス「せかいをみてくる」の観てきた!クチコミとコメント

  • 実演鑑賞

    満足度★★★★

    「これから」観劇。
    今どんな世界の物語を観させられているのか、その不思議感覚が公演の魅力。どんどん惹き込まれ、最後まで興味が尽きない。2015年杉並演劇祭大賞受賞作、11年ぶりに蘇るアンティークス幻の代表作は見応えがあった。少しネタバレするが、「ただいま」「おかえりなさい」「元気だった」 という何気ない言葉が物語のカギを握る。意識した記憶と或るモノによって覚醒させられた無意識が交差した時、主人公 しのぶ と母 ゆみこ の想いが溢れ出る。

    表層的には SFで夢落ちのような印象だが、それとは別に人のいろいろな感情が押し寄せるといった現実の重み。当日パンフにテーマは「旅」とあり、人生を「意識=魂」の旅と仮説したとある。現在(2015年)と過去、その時の繋がり交わりこそが人と人の絆、それが優しくも悲しい、そして残酷だ。
    (上演時間1時間35分)【チーム海】㊟ネタバレ

    ネタバレBOX

    舞台美術は、中央に木製のテーブルと箱馬、入り口の対角線上(角隅)に飾り棚とピアノ。上演前は衣類が散らばっている。飾り棚の上にミニサボテン。

    しのぶは就職活動をしているが、うまくいかない。母は そんな娘を明るく元気に励ます。「ただいま」「おかえりなさい」の繰り返し、しのぶ はサボテンに向かって元気だった?と話しかける。とにかく生き生きと活動し 愚痴と慰みが微笑ましい。母と娘2人の家に父と妹と名乗る親子が入り込む。ケケケケという言葉しか発しない奇妙な者、闖入者のように思えたが、母は自然と受け入れる。しのぶは混乱するが、いつの間にか不思議な力に魅入らされている。しのぶの親友 くるみとの交流、父母妹との家族旅行といった穏やかな暮らしを点描する。

    お父さんや妹さっちゃんの不思議な力、いつの間にか母が18歳の時代へタイムスリップ。しのぶは 自分が生まれる前の世界を俯瞰している。母から 父は事故死と教えられていたが 実は違う。父と思しき人 学(マナブ)と母は結婚するはずだったが…。ゆみこは眠り病という難病に罹っていることが判明し、一芝居打って自ら別れた。堕胎するつもりだったが、結局は産んで育て始めた(しかも記録用の映像まで撮影)。

    ゆみこは記憶障害に陥りながらも、しのぶが18歳になるまで一緒に暮らした。実は しのぶも3年間眠り続けた。眠り病は遺伝し、その間にゆみこは目覚め、しのぶに「おかえりなさい」と話しかけていた。一方、今しのぶは目覚め ゆみこに向かって「ただいま」と。無意識下(眠り)にいる母または娘に向かって交差する想い=記憶の混濁、母と娘の無意識の交信のようなもの。居るのが当たり前と思っている人、その日常がどれほど大切で愛しいことかを痛感する。人の滋味をしっかり味わわせてくれる秀作。

    或るモノ=父と妹は、地球人ではなく遠い星からやってきた異星人のよう。自星に戻ることもできず、眠り病⇨記憶障害の(忘れっぽくなった)母=ゆみこの意識下に潜り込み、タイムスリップさせることで、2人の想いを繋ぐ。ピアノの生演奏、照明の絶妙な諧調が情景を支え、心情を印象的に表す。それが魂と魂の共鳴にピッタリな演出になっており見事。
    次回公演も楽しみにしております。

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    2026/06/18 16:53

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  • ご観劇ありがとうございました。鋭い考察、感服いたしました。
    今後も精進して、謙虚に劇作に励んでまいります。(脚本/演出 岡﨑貴宏)

    2026/06/19 00:15

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