借金大王 公演情報 中央大学第二演劇研究会「借金大王」の観てきた!クチコミとコメント

  • 実演鑑賞

    満足度★★★★★

    鑑賞日2026/06/14 (日) 14:00

     中央大学第二演劇研究会の公演を観るのは、実は今回が初めてではなく、複数回観たことがある。

     バブルがはじけた日本
    雇用が安定せず、社会には大きな格差と不安が生まれた
    しかし、そこから成長するものもまたあった
    ギャンブルである
    国は「ギャンブル推進法」を制定
    一発逆転のチャンスは国の支援もあり急速に成長したと言うような内容で、もしも「ギャンブル推進法」が制定されていたらと言う、もしもの世界を、時に尤もらしく描いて、ギャンブルをテーマにした劇だと、社会派的に説教臭くなり過ぎるか、くだらなくなり過ぎるかどちらかの筈なのに、そのどちらかに偏り過ぎることなくバランスが取れていて、感心した。
     また、笑いもあって、大いに楽しめた。

    ネタバレBOX

     元総理が、ギャンブルに勝ち続けても理性を失い、負け続けるとイライラして、心の余裕がなくなり、人間関係も破綻し、ギャンブルが楽しくなくなっているけれども依存してしまい、人間らしさを失ってしまう理由を知りたいことから、総理を辞め、議員を辞め、いつの間にやらホームレスにまで成り下がる、ジェットコースターのような人生が、あまりにもぶっ飛んでいて笑えた。
     20年後の日本の総理になった、お坊っちゃんのような、あのちゃんさんのような性格の、多分女性の役者が演じているので(少年役を女性の役者が演じることはよくあるものの)、恐らくは女性の総理を演じていて、2世の設定なのに、人気の少ない雑居ビルを怖がったり、内部の新人議員がわかての革命家と協力してクーデターを起こされると、その能力に嫉妬したりと、政治家なのに、誰よりも人間味があって、秘書と共に自分たちが支持率も失い立つ手がない状況に追い込まれても、不正な手口や裏交渉をしたりと言った政治的な取引を良しとせず、正々堂々と渡り合いたいという気持ちと、怖じ気づく気持ちとがせめぎ合う場面も描かれたりと、現実には、こんな総理や国会議員はいないと分かっていつつも、何処か共感出来た。

     革命家のつとむ(劇中の台詞の中で何回も呼ばれるが、どういった漢字が当てられいるのか劇では示されていないので分からない)を演じるのは女性の役者なので、恐らく女性のボーイッシュな革命家と言うことだろうと思う。(顔立ちがどう見ても、男役には見えないもので)
     その革命家が、「ギャンブル推進法」を廃止し、ギャンブル依存症を減らし、ギャンブル依存症患者のケア施設を国が作ることを求め、世の中の格差を無くし、国民が平和で、経済的にも、実感としても幸せになれるような社会を目指すべきだと言うようなことを大規模デモを通じて訴えるが、新人議員と協力してクーデターを起こし、官邸の乗っ取りに成功した後、革命家つとむに心酔し、付いて来た女子高生が、どんどん過激に人々を縛り、ギャンブルを完全に一掃しようとする法案を通そうとしたりと、行動や言動が暴走していくといった流れに妙なリアリティーがあり、特に国民を完全に管理するといった発想や法律を守れない、破る人間や努力しない人間は、専門のスパイ組織のようなものを創設して、人知れず消せば良いと言うようなことまで女子高生は言い出す辺り、現実味があり過ぎて、ただのディストピアと思えず、すーと薄寒く感じ、恐ろしくなった。
     革命家のいうような平和で誰もが幸せでいられる社会など理想論と切って捨てるのは簡単だが、たとえ理想論でも、突き詰めていけば、1人1人の努力ではどうにもならなくても、複数人が賛同し、それがやがてもっと大人数の共感を呼び、それが結果として少しずつだとしても社会を変えられるんじゃないかとも感じ、革命家の意見にも一理あると感じ、誰かが悪とか善とか2元論で簡単に片付けられるほど、世の中簡単ではないと感じた。
     劇を観ていて、一方の意見が絶対的に正しいから、それを周りにも従わせることの恐ろしさ、こと、それが国家レベルとなると、尚更だと改めて気付かされた。

     最後の方の場面で、ギャンブル推進法を推し進めた元総理で、現在ホームレスが、「人間、ギャンブルで勝ち過ぎても人で無くなる。ギャンブルで負け過ぎても人で無くなる。国を挙げて、ギャンブルを推進しても、熱狂的になるのは一時的。かと言って、ギャンブルを締め付け、努力したら報われる社会を推進するのも違う。ギャンブルにおける運に、結局理由なんてない。ギャンブルは国に強制される訳でもなく、ただ楽しくやれればそれで良いのであって、その境地でいる為には、負け過ぎて余裕が無くなるのでもなく、勝ち過ぎず、負け過ぎず、程良く勝って、程良く負ける。その感覚が大事だ。ギャンブルに飲まれず、楽しくやること。そうすれば、人の道を外れることもない」と言うようなメッセージを話し、終わっていくが、その元総理役の役者の台詞に一理あると思いつつ、実際はそう簡単に抜けられず、かと言ってギャンブルと対人関係とのバランスを上手く保つのが実際はかなり難しいので社会問題化しがちなのではないかと言うような疑問も同時に思い浮かび、考えさせられてしまった。

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    2026/06/16 02:06

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