隕石 公演情報 SPIRAL MOON「隕石」の観てきた!クチコミとコメント

  • 実演鑑賞

    満足度★★★★

    思(想)いを伝える いや寄り添うといった心温まる物語。冒頭は限界集落からの逃避的な印象だが、その後 不思議な出来事が…。この公演が面白いのは、表層の可笑しさの奥にある哀惜が透けて見えるところ。少しネタバレするが、場面は突然転換し 全然違う話が展開しだす。しかしラストは緩く繋がり余韻を残す。

    もう1つの面白さは、眼前で繰り広げられている物語を通して、自分なりの別の物語が立ち上がってくるところ。色々な想像力を掻き立ててくれる好公演。自分の中では「隕石」は比喩、もっとも劇中で隕石が落ちてという台詞があり 大きな音が響くが。隕石は抗えない運命のようなもの、その時 人はどのような選択と判断をするのであろうか。
    (上演時間1時間20分)

    ネタバレBOX

    舞台の後景は白幕、照明効果によって木や枝のシルエット。始めのシーンは やや下手側に木のベンチが1つ。次は中央にテーブル 椅子そして天井に飾り電球1つ。このシンプルな装置は別役実の芝居でよく観られるもので 何となく不条理を連想してしまいそう。

    始まりは各駅停車しか停まらない駅舎(ベンチ)。この街で生まれ育った女 榎本が外の街 とりあえず東京へ行ってみたいとやってくる。ベンチには先客(男=駅員)がおり、何故か榎本を街から出ないよう引き留める。いや強硬手段を用いて阻止しようとする。乗ろうとする電車が近づいてきた その時、派手な服を着た男 布袋(自称 税理士)が現れ「遺産相続人に選ばれた」と奇妙なことを言い出す。金品ではなく、出来事の遺産相続、それを体験してほしいという。

    場面は変わって、夫婦と夫の兄の3人の会話。妻 幸子が突然 夫 賢二に別れ話を切り出し、兄 健一は傍観している。妻曰く好きな人ができた の一点張り。夫婦の漂流するような別れ話、そのうち 夫が自由の身になることへの喜びを見出す。逆に妻はそれがおもしろくない。兄は自分の病(stage-1 手術)のことが心配で 弟夫婦の会話は二の次。場面は変わり 結局 榎本は或る事情を知り、この街に留まる。さらに痴呆が進んだ奥様が現れ、再び布袋が現れ遺産相続の話へ。

    自分の想像は膨らむ。隕石はいろいろな災害(人災も含む)の隠喩で、人は運命に抗うことができない。突然のことで言えなかった思い〈遺産〉を その人に代わってどう伝え〈相続〉るのか。その人が選択したこと、そして記憶に留めること そんな人に寄り添った心温まる物語。同時に、冒頭の場面は限界集落になるという事情だけではなく、その地が掛け替えのないほど大切(見守りを含め)な場所 ということが浮かび上がってくる。人の思いを じんわりと噛みしめる好公演。
    次回公演も楽しみにしております。

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    2026/06/13 14:17

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