第三の証言 公演情報 劇団青年座「第三の証言」の観てきた!クチコミとコメント

  • 実演鑑賞

    満足度★★★

    灰色に塗り潰された壁。赤錆びた鉄骨が頭上を斜めに貫いている。JCRのP箱とビールケースをグレーに塗り潰した物が並んでいる。それを椅子代わりに。途中、その上にベニヤ板を渡してテーブル代わりにも。
    『コラボレーターズ』のようなサイレント喜劇演出やフラッシュモブがブリッジに流れる。同じ演出家かと思ったら違ってた。西田茉莉さんの無表情ダンスや岡本大樹氏のリズミカルなマイムが印象に残る。『スリラー』のような漫画的な恐怖表現。マクシム・ゴーリキーの『どん底』っぽい場面や不条理系のディストピア工場の描写。

    主人公・石塚雄大(ゆうた)氏はせいやっぽい。

    社長・工場長的役割の横堀悦夫氏は石橋蓮司っぽいと思っていたが今作では緒形拳似。
    その妻、ひがし由貴さんは精神を病んでいる。鼻が高い。

    伊東潤氏は塚田僚一っぽい。
    彼との結婚を控えた佐原良砂(つかさ)さん。

    戦争で松田周氏は大事なものを作らない人生観を身に付ける。西野亮廣っぽかった。
    彼を密かに想う尾島春香さんは小保方晴子寄せ。

    会社の不正を告発して辞めていった豊田茂氏は大鶴義丹、なべおさみ系だが今作では朝倉未来似。

    屈折した母親・万善香織さんは鼻に特徴。
    手拍子が鳴ると勝手に踊り出してしまう知的障害者の娘・西田茉莉(まつり)さんは今後要注目の存在かも。

    刑事の加門良氏の貫禄。
    電報配達夫と刑事の岡本大樹氏はコンテンポラリー・ダンスのようなマイムが鮮やか。

    ビスケット工場に入社したばかりの石塚雄大氏。知的障害者の西田茉莉さんと首吊ごっこをしている。西田茉莉さんは何を聞かれても「ハァイ」と元気よく答えてくれる。石塚雄大氏は工場のあちこちに鼠の死骸を発見。ビスケットの原料である粉を食べた様子。これは毒物じゃないのか?工場の人達に伝えて回るが誰も相手にしてくれない。到頭、警察に通報する。

    謎のビスケット工場。本当の社長は電報で指示を出すのみで誰なのかも分からない。横堀悦夫氏は指示通りに動くのみ。高額な給与で従業員は疑問を飲み込み口には出さない。

    俺達は一体、本当は何をやっているのか?

    ネタバレBOX

    再演を繰り返す内に改稿を重ね、パンフを読むとどうやら1958年の王子製紙争議をモデルにしたらしい。ストライキを起こした組合に対して会社側が主導して第二組合を結成させた事件。二つの労組の内ゲバで分裂、弱体化。全ては会社側の思うがままに。
    もう一つのモデルは1952年のビルマ(現ミャンマー)からの輸入米の三分の一がカビに汚染され変色していた事件=黄変米騒動。毒性のあるカビた米を配給する政府に対し、激しい抗議活動が起きた。

    時代はずれるが自分は水俣病とチッソの話のようにも思えた。不正を告発して無職になった豊田茂氏は会社に戻して欲しくて惨めに何度も頭を下げるが相手にされず野垂れ死ぬ。正義の為に動いた石塚雄大氏はそれが何の意味もなかったことを知り絶望して首を吊る。ぶらんぶらん揺れるロープが壁に当たる音で規則的に踊り出す西田茉莉さんで幕。

    万善香織さんの歪んだ人生観。知的障害者の娘が白い目で見られれば見られる程、自分達の存在を実感出来るという倒錯。今作は皆、倒錯している。

    青年座と自分は相性が悪い。5本観ているが、満足したのは『ズベズダー荒野より宙へ‐』だけ。いろいろ詰め込んでいるがいつもスッキリ決まらない。観せ方が下手。最大公約数を狙えば味は薄まる。皆に60点の作品なんか記憶に残らない。ある連中にだけ120点のガチガチの作品を望む。

    全てが上の計算通りだったという『マトリックス リローデッド』感は面白かった。

    死よりも尚美しいもの、それは死んだ後に存在する完全なる自由。自由を指し示す為にイエス・キリストは在ったのだ。それを知った人間は全ての価値観から自由になれる。

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    2026/05/22 17:15

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