わが町 公演情報 新国立劇場「わが町」の観てきた!クチコミとコメント

  • 満足度★★★

    裏切られた展開
    新国立劇場の中劇場を存分に使った、3時間10分の長編作。
    1,2幕はどうってことない様に進んでいくのだが、3幕が美しかった。
    むしろ、3幕のために1・2幕があるといってもいい。
    新国立劇場芸術監督宮田慶子さんの意図が明確な作品だった。
    バックで歌われる賛美歌とピアノの演奏がとても繊細で綺麗だった。
    全体的に言うと、とても洗練されて都会的で、田舎町という風情は微塵も無い舞台だった。

    ネタバレBOX

    オープンステージとして中劇場を使い舞台を迫り出して使用しているので、1・2幕は俳優の出ハケが舞台奥の下手上手から前に出て演技をするというのがとても窮屈そうで、ぶっきらぼうな印象を受けた。
     また、衣裳もモノトーン、照明も青・緑・暖炉の赤と冷たい白、どちらかというと無彩色。舞台監督役の小堺一機さんのモノローグもいつもTVで見るところの軽快さはなく、どことなく抑制の効いた感じだった。
    その印象は1・2幕を通して変わらない印象で、どんなにか華やかだろう結婚式でさえモノクロームなイメージで進んでいった。
    これは、3幕冒頭の墓地・そしてエミリーの12歳の誕生日の回想シーンを際立たせるための1時間55分に渡る長い助走だったのである。
    3幕の冒頭はとてつもなく美しく哀しい。生と死と人生を見つめる時、舞台上の役全員が、もうこの世にいない死者であり、過去の光景を映し出したに過ぎないという光景を、さいたまゴールドシアターの存在感ある俳優たちが墓地の穴に埋まることによって、暗示し作品の中心テーマへの傾斜させる。

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    2011/01/28 02:35

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