空(くう) 公演情報 空(くう)公演「空(くう)」の観てきた!クチコミとコメント

  • 実演鑑賞

    満足度★★★★

    面白い。
    戦禍を避けるために地下へ逃げ込んだ家族(人間)の業を描いた濃密な朗読劇。朗読だが、台本を持ち小さな動きをすることで状況を補足する。あらすじ にある一家、この家族形態こそが物語のカギ。

    少し気になるのが、脚本 蕭勁強(シウ・キンキウ)氏と演出 インディー・チャン氏が当日パンフに共通して「『戦争』の苦しみ」と記しているにも関わらず、人間と戦争そのものの関りに距離があること。勿論、地下という閉塞した状態に追い込んだのは戦争に違いないが、そこから先は家族内での生存をかけた闘い。どちらかと言えば人間の醜悪さが浮き彫りになっていく。タイトル「空」はいろいろな捉え方ができて 言い得て妙。
    (上演時間1時間15分) 

    ネタバレBOX

    客席はⅬ字型。舞台セットは木のベンチとミニ椅子とラジオ。戦争というか内乱による戦禍から逃げるため地下へ。ここはフードセンターの地下であり、わずかではあるが食料(缶詰)が手に入る。その缶詰(サイズ)も時間が経過するに従い、だんだんと小さくなっていく。全体的に昏く地下といった雰囲気が漂い、それが閉塞感を助長している。

    初めは兄と弟の2人が隠れていた。後からギターを抱えた女(嫂)、そして父と娘(妹)が加わる。本当の家族ではなく疑似家族として助け合うはずが、いつの間にか食料や水が底をつき、自分が生き延びるため エゴを剝き出しにする。極限状態における人間の醜悪さ と同時に恐ろしさ。(疑似)家族同士で殺し合い、屍の人肉を喰らって生きようとする。そこには常識や倫理等はなく人間の皮を被った獣がいる。こんな状況になるのは「偶然」ではなく「必然」、そこに物語の肝が透けて見える。

    兄は元警察官、素性の知れない嫂は流れ者、父と娘は金持と貧困の愛人契約。もともとが歪で脆い人間関係。気になったのが、戦争を背景にしているが、厳密には体制と反乱(むらさき旗)という内戦状態。疑似家族内でも金持や元警官といった体制側、一方 嫂や弟、愛人にならざるを得ない女は反乱側という構図ではなかろうか。閉塞状況にある家族構成こそが戦争(内戦)そのものを生んでいる。

    極限状態における人間の恐ろしさを描いているが、持つ者と持たざる者といった階級闘争的な背景をもっと押し出すことで物語の広がりと深みが増したのではないだろうか。最後は出て行った嫂が 若い女性(姪)を連れて帰ってくる。そして空いた天井部から光が差し込んで…そこに将来的な暗示が込められているようだ。ホッとするような物足りないような微妙な印象を残す。タイトルは、空腹であり天井の穴(空)であり、空(希望)を表しているようだ。
    次回公演も楽しみにしております。

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    2026/05/18 00:27

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