粛々と運針 公演情報 iaku「粛々と運針」の観てきた!クチコミとコメント

  • 実演鑑賞

    満足度★★★

    「コミカルに倫理を問う対話劇」

     2017年の初演以来再演を重ねている横山拓也の代表作を上田一軒が演出した

    ネタバレBOX

     客席に座りまず目に入った大きな銀色の輪っかと、舞台後方の白い布がかかった二つの高い段が静謐な空間を形作っている。やがて開演するとその輪っかが客席に向けて斜めに動き、脇にある台に腰掛けている俳優たちがそのなかで芝居をするという形式で物語が進行していく。

     子どもを持たないと決めて結婚した田熊應介(中山義紘)と沙都子(佐々木ヤス子)夫妻は、沙都子の懐妊の兆候によって関係にほころびが生じる。他方で病床の母親を見舞う築野一(花戸祐介)と紘(鈴鹿通儀)の兄弟は、実家の整理や今後について話し合う。この二組のやりとりを舞台後方の段から結(林英世)と糸(鄭梨花)が裁縫をしながら見守っている。生まれゆく命と消えゆく命を巡る双方のやりとりが、人間の醜くエゴイスティックな一面を浮かび上がらせる。

     深刻な題材ながらコミカルでテンポのいい会話は本作の大きな見どころである。関係性の薄い夫婦と兄弟の対話を積み重ね途中から交錯させる作劇や、終盤明らかになる結と糸の正体に、時間と空間を自在に行き交う演劇の特色が生きていた。ただしやや牽強付会で観終わってからもどこかぼんやりとした印象もまた残った点も付記しておきたい。

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    2026/04/15 19:41

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