賢治の風 公演情報 劇団演奏舞台「賢治の風」の観てきた!クチコミとコメント

  • 実演鑑賞

    満足度★★★★★

    鑑賞日2026/04/11 (土) 18:00

     前に1度、劇団演奏舞台の劇は、現代能演出の能『藤戸』を観たことがあったが、今回の宮沢賢治の詩集の朗読や童話『どんぐりと山猫』を中心とした『賢治の風』の舞台とでは、舞台の構造自体が違っていて興味深かった。
     『藤戸』の際には、能舞台を現代化したかのような抽象的なセットで、どこか観ている観客にまで緊迫感と極度の集中力を強いる舞台だったのに対し、今回の『賢治の風』では、宮沢賢治の詩や童話を扱っているせいか、時に耽美さや緊張感、不穏な空気感を与えつつ、電子音楽のような生演奏が付き、照明やスクリーンに映し出される美しい映像が朗読と混じり合うことで不思議な一体感が生まれ、日常と非日常の境目が段々と曖昧になっていく没入感覚に、『藤戸』の時の能舞台を現代に蘇らせた感じとは違った空気感を感じた。

     普通宮沢賢治を取り上げるというと、映画やアニメ、漫画、演劇、朗読劇を問わず、普通は童話中心で、そこに多少詩を織り交ぜることが多いと思うが、今回の朗読劇ではそう言った既成概念に囚われず、宮沢賢治の詩集から、私の知っているものから知らないものまで、数多くの詩を、時に情感豊かに、また、深刻に、そして、耽美さ、切なさ、やり切れなさ、不穏さを含んだ感じまで、それぞれの詩で全然空気感を変えていて面白かった。
     朗読劇の『どんぐりと山猫』では、一般的に山猫がズボラで田舎者だが、憎めず、人の良いキャラとして描かれがちなのを、今回はどこか不気味で、掴み所がなく、ただ威圧的と言うより、超自然的で逆らったらどんな不幸が待っているか分からない存在として、山猫、そして山猫の腰巾着にも見える御者が時にコミカルさやバカバカしさを備えながらも描かれていて、そのバランスと日常に非日常が当たり前に浸食しているシュールさを兼ね備えた、笑えながらも、どこか残酷性が混じった世界観に引き込まれた。
     それと、どんぐりたちのガチャガチャした感じと、山猫に会いに行く少年の妙に純粋無垢な感じのさじ加減が大いに笑え、少ないキャラ1人1人が際立った演出が良かった。
     
     全体として、大人の宮沢賢治という感じがして、こういう視点もあるのかと考えさせられた。

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    2026/04/15 15:07

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