満足度★★★★★
静的衝撃
はじめます!
久々に凄い芝居いや、凄みのある芝居を見て来た。
というわけで、下北沢は駅前劇場で、悪い芝居「キョム!」を見て来ました。
とりあえずあらすじ。
路上生活者の松本さんが殺された!
容疑者は、松本さんと共に劇場で生活していたホームレス達。
一体誰が犯人なのか。
一体何故松本さんは殺されたのか?
この芝居は何処へ向かうのか?
我々の心にはただ虚無が渦巻いていく。
登場人物は皆、劇場で過ごすホームレス達。
芝居の幕開けは唐突だった。
舞台上に様々なホームレス達が上がってきては、好き勝手に騒ぐのだ。
どこからがオープニングか分からず、最初は正直戸惑った。
そこに駆け込んでくる男女の刑事役の2人。
刑事役として、俳優として舞台上にかけあがり、次第に俳優から刑事へと変化していく。
この演出には、現実と虚構の境界の曖昧さが伺えて、個人的には心地よかった。
そこから怒濤の勢いで、殺人事件の再現をしていく。
しかし、このストーリー、ただ事件を解決することが終着点ではなかった。
ここから先は、是非ご自身の目で確かめていただきたい。
とにかくラストがすごい!
息をのみ、目を見張る。あるいは涙するかもしれない。
目の前で繰り広げられる芝居が、虚構なのか、それとも現実なのか。
見ている我々は観客なのか、それとも登場人物なのか。
彼らの芝居が舞台上から、ジワジワと滲みだし、次第に客席を飲み込んでいく。
その時、我々は、虚無を心に留めるのだ。