公演情報
祭文庫「遠津川の両雄」の観てきた!クチコミとコメント
実演鑑賞
満足度★★★★★
鑑賞日2026/03/22 (日) 17:00
中世大和の奥また奥、吉野の山を行き越えて、人馬通えぬ遠津川(とほつかわ)。
秘境も断崖、田畑無し、天智天武の戦より、千年数えし免租の地。
雲海彼方の霊場を、変えぬ傑物、変える傑物という感じで、CoRichに載っていたあらすじが頭に入ってきづらい内容だったが、実際に観てみたら、勝手に私がイメージしていた怪奇幻想的要素が色濃い時代劇演劇と言う感じか思っていたら、良い意味で違って裏切られた。
信貴維綱(シギコレツナ)と北広時(キタヒロトキ)の2人は幼馴染で、今は遠津川の指導者と信貴(シギ)の妻の礼子(ライシ)と、信貴(シギ)、北(キタ)の幼馴染の慧(ケイ)を中心とした、アクション少なめ、但し、多少の怪奇要素ありの、ドラマ要素強めの、時に笑いあり、緊迫感に満ち溢れた作品で、そのバランスが良かった。
性格も目指す方向性も全然違うものの、幼馴染の信貴(シギ)と北(キタ)の2人が、段段と考え方の違いが決定的になり、遠津川とその近辺の平和を守る為、北(キタ)とそれに結果的に付いて行った者たちとを討つという難しい決断というか、覚悟を決める信貴(シギ)という風なドラマ重視で、変えようのない宿命の要素にも重きを置き、ハラハラドキドキで、最後は誰の得にもならないような終わり方になっていく悲劇的で、痛快とは程遠い、重くのしかかってくるような劇に、考えさせられた。
1時代劇演劇と言うだけに留まらず、世界各国で戦争や紛争が勃発し、日本やアメリカ、欧州でもポピュリズムや排外主義が蔓延りと言った不穏な時代において、今回の劇の中では、信貴(シギ)も北(キタ)もお互いの主義主張を一切捻じ曲げず、遂には最終的に戦わねばいけない状況に追い込まれるまでを丁寧に描いており、意外と国レベルの戦争や紛争等も、こう言った些細な意見の相違等の積み重ねで、取り返しの付かない悲劇に発展することも多々あるのではないかと(最もそうでない場合もあるだろうが)、取り返しの付かない争いに至る過程が丁寧に描かれており、分かり易くて、且つ自分とは全然違う意見の人がいても、完全に突っぱねたり、自分の意見が正しいと押し通すのではなく、話し合いを繰り返し、理解し合おうと努めていくことの大切さを改め思わされた。
また、時代劇演劇だが、従来の時代劇演劇と違って殺陣に重きを置き過ぎていないのが、新鮮だった。