完熟華火 公演情報 中央大学第二演劇研究会「完熟華火」の観てきた!クチコミとコメント

  • 実演鑑賞

    満足度★★★★

     メインストリームは、波乱万丈。抒情性も高くグッとくるシーンが幾つもあって楽しめた。長尺(途中10分の休憩を挟み約145分)はちょっと長すぎるように感じた。メインストリームだけで充分良い作品になったと思う。

    ネタバレBOX

     伝説の桃娘の体液入りの飲料がオークションに一瓶だけ出品されたという。この小瓶が本物なら、それは以下の条件を満たしていることになる。
    桃娘とは幼少時から桃だけを食べさせられて育った娘のことで、その身体から採られた体液(唾液などを含む)を呑むと身体壮健、果ては不死の力迄得るという。伝説に従い、香港の大富豪(王)が実際に一人っ子政策で遺棄された女児を引き取り自らの実験室で科学者らと共に研究を重ね、遂に伝承の桃娘を作り上げることに成功した。名をランという。
     さて、無論物語は桃娘だけでは成立しない。他の登場人物たちは、五島列島南部の或る島に住む花火職人で気性は激しいがその激しさを内面に秘め、極めて真面目に仕事をし而も筋の良い若者(カナメ)であるが、才能の劣る兄弟子はそのコンプレックス故に少年院出の彼をことあるごとに前科者と罵り差別している。島の住人の殆ども前科者、と彼を差別し続けているが、親方だけは彼の才能と賢さ、純粋性と感性の鋭さ、優しさを認め一切の差別をしないので彼はこの島で生きていられる。然し、こんな生活も終わりを迎える時が来た。大学に入って島を離れていた親方の息子(ヤスイチ)が戻って来た時に、トンデモない借金を背負い、払えなければ契約書に記されている通りにこの島の港の漁業権を譲渡するよう取立人が乗り込んで来たのである。親方とて大金を肩代わりしてやれる財力は無い。すると取立人は借金返済の代わりに息子のできる2つの案件を提示した。1つは蟹漁に従事すること、もう1つは生きる為に障害を起こさない臓器を摘出したうえで伝説とされる桃娘を見つけ利権を漁る為の手立てを入手することであった。かくしてヤスイチとカナメは密航し香港に渡ることとなった。こちらがメインストリームである。
     サブストリームはメインストリームが可成りシリアスな内容であることを踏まえ、これと対比させて相乗効果を生むように設計されたと思われるが、爺になってより深く、より醒めてしまった自分の視座からは、無用と思えた。余りにおチャラケて観えたからである。而もサブストリームを加えることで相乗効果を上げる為にはサブストリームがしっかりメインストリームに食い込んでいる必要があろう。これは戯曲家にとって可成り難易度の高いことであるが、それが出来ないのであれば割愛した方が良かったと感じる。科学的にも男女の成長過程に於ける差異が徐々に明らかになってきている現在、単なるジェンダー論やそれ以前のフェミニズム論だけで或いはもっと軟弱な男女論を下地にして描くのは如何か? と思う。

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    2026/03/15 14:48

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