蠅の王 公演情報 ワンツーワークス「蠅の王」の観てきた!クチコミとコメント

  • 満足度★★★★★

    摩擦
    小説「蝿の王」とは違った設定と登場人物。小説は無人島に漂流した子供達が巻き起こす物語だが、ここでの王国は会社のオフィスだ。そして登場人物は勿論、ビジネスマンたち。
    序盤、氷室が在室するオフィスに黒いスーツを着た5人の豚が登場する。その情景はまるで「不思議の国のアリス」さながら大人の童話を彷彿とさせるお茶目な登場の仕方だ。豚たちはそれぞれ独自でスローな動きを見せながらも都会的なセンスを身にまとっている。彼らは氷室を嘲笑してるようにも見えるし逆に氷室という人間の一部のようにも思える。これらの部品はこの物語に影のように寄り添って登場するのだ。

    以下はネタばれBOXにて。。

    ネタバレBOX

    それぞれの課から配属された8人は服飾プロジェクトとして仕事を推進していくが、そのうち、なぜ自分達がこの課に配属されたのかを疑問に思う輩が現われる。この仕事を精一杯頑張らなければ会社の評価が悪くなる、と勝手に思い込んだ彼らは、いつしか自分自身を追いつめ、会社の地下室に寝泊りしながら、仕事にセイを出すも、その脅迫じみたストレスから弱くて仕事が出来ない輩を攻撃するようになる。

    明らかにパワハラなのだが、こういった切羽詰った状況の中、冷静な判断を削ぎ取られ攻撃する輩がいかにも仕事ができるかのような印象になり、ポジションも確立されてしまう。世の中は強いものが有利なように空気は流れてしまう構図だ。

    そうして主張の強い多弁な輩がデキル人材と観客にも思わせてしまうのだが、もうこの時点で彼らは会社の一つの駒どころか奴隷に成り下がっているのだが、「私は会社に人間関係を求めに来てるわけではないの。仕事をしに来てるの。」と正当なセリフも吐きながら他者を支配していくさまは実際の営業課と似ている。

    しかし生き残りをかけた彼らの戦いの中で少しずつ人間関係が破滅へと動かされていくのだった。セクハラも飛び交う誹謗中傷の中、人間としての良心が崩れ無機質になっていく瞬間の構成は見事だった。

    しかし、その大元である会社は会社更生法を受ける結果となり、この部門に配属された彼ら全員が人事から「会社に必要ない人材」とレッテルを貼られた体のいいリストラ組だったことが明らかになる。

    結局薬局、自分は仕事がデキルと粋がってた輩も会社から見れば無能な人材だった。という滑稽なお話。まさに8人の王国はこの瞬間に崩れるが、その崩壊はあまりにも一瞬だった。

    構成、一人ひとりのキャストらの動き、演技力、音楽導入、そうして何よりも演出が大絶賛な芝居だった。終演後、拍手は鳴り止まず、ワタクシもエラク感動してしまったが、どうやら、この劇団の演出方法はインプロとして全員で話し合いながら構築していく方法らしく、その巧みな動きは素晴らしいとしか言いようがない。

    小劇団の方たちに観てもらいたい演出だった。素晴らしい!!

    2

    2011/01/08 17:29

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  • チェルチェルシー>
    コメントサンクス。
    そうでしたか、ここで訂正してくださったので文章自体は訂正いたしませんが了解しました。
    次回の公演も当然ながら期待は膨らんでおります。
    また、拝見したいと思います。
    素敵な舞台を有難う。

    2011/01/09 08:56

    先ほどはどうも。訂正です。演出家に聞いたらインプロで作っていくのではないそうです。全て演出家の考えで作っているそうです。

    2011/01/08 18:26

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