新年工場見学会2011『ヤンキーのニセモノ』 公演情報 五反田団「新年工場見学会2011『ヤンキーのニセモノ』」の観てきた!クチコミとコメント

  • 満足度★★★★

    ものすっごく楽しかった。
    黒田大輔がいい。もさっとした表情や驚いた表情がしごくいい。それに対する木引優子のぼんやりとしたふわっと感もいい。

    全体的にコミカルな芝居だが、不思議でシュールな笑いも含めて過去数年の「新年工場見学会」の中では一番笑って、一番満たされた公演だったと思う。

    ネタバレBOX

    「黒田パン」ほど厭らしくてカッコ悪さが秀でたピーターパンもいないだろうと序盤から崩れながら笑った。本来のピーターパンは子供だけのワンダーランドで夢溢れる冒険ものだが、黒田パンは夢も希望もない苛められっこなのだった。そして大人のワンダーランドに巣食う暴走族が蔓延る島でもあったのだ。笑
    そんなしょもないワンダーランドで遊ばれる黒田パンの飛び方は事務椅子の上に乗っかってブーーーン・・ブーーーン!!と観客に突っ込むような体で飛びながら、ってか動きながらヨタヨタと今にも失速しそうなナリなのだから、あまりにも哀れで可笑しくて、まるで、おぼっちゃま君を見ているようだった。


    「ハイバイのヤンキーのニセモノ」も面白い。
    父が失職して父の威厳を失った家族を描写したものだが、ここに登場するヤンキーたちの仲間に成り下がった父のヤンキーぶりが面白い。

    ヤンキーらは興味を持てない実際の社会を可視できず、代わりに自分たちのフィクションの世界を作って実際の世界を上から塗りつぶすかのような不良文化を作り上げた。それは若者たちの共同の幻想でもあった。彼らはコンビニでたむろし、地べたに座って漠然とした天下統一や喧嘩上等の思想があったが、何の為に戦うのか中心部分は空洞だ。だからこそ若者は燃え熱狂するのかもしれないが。

    父がこのフィクションの中に入り込んで「喧嘩上等」を掲げ雄叫びをあげるさまは、かつての全学連の「闘争」を見ているような感覚だった。不思議な青春の暗い奈落、若さを病み、未来を掴もうとするがゆえに今の現実を否定する。猪股にはそういった雰囲気を持った役者でもあると思う。笑

    「ヤンキーのニセモノ」にはフィクションの中に、もう一つのフィクションがあり構成が面白いと思うと同時にキャストらの可笑しな仕草にも笑わされた。

    とにかく楽しい。お勧め!

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    2011/01/04 14:51

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