公演情報
ニットキャップシアター「土曜日の過ごしかた」の観てきた!クチコミとコメント
実演鑑賞
満足度★★★★★
鑑賞日2026/02/28 (土) 14:00
普通、戦前から戦後までを取り扱った作品だと、特に演劇で描く場合は、戦後の登場人物たちのその後はあんまりハッキリと描かないことが多いが、今回の劇では、喫茶店の看板娘でもある白瀬キミと幼馴染で喫茶店の常連客の青年のその後を描いていた。
常連客の青年は南京戦線に招集され、戦後になり、日本に戻ってくるが、以前の青年時と違い中国の南京での過酷にして非情、凄惨、残虐極まる現地の戦争を現場の1日本兵として経験し、心身ともにやられ、トラウマから立ち直れず、折角幼馴染の白瀬キミと夫婦になり、子どもと言うか、赤ちゃんまでいるのに、相当な酒浸りになり、仲間の多くが戦死や病死したりしていった中で自分だけ生きて帰り、病気や怪我もなく無事なことに耐えられず、自分をいつまでも責め続け、現実逃避の為酒浸りになり、赤ちゃんが泣いてるのに対して怒鳴ったりと、DV気質なところもしっかりと描かれており、戦争による影響によって人の性格や態度まで大きく変わってしまう弊害もしっかりと描かれており、戦争が終わったら、人々が民主主義と平和を享受して謳歌すると言ったような描くのではなく、ちゃんと都合の悪い部分と言うか、歴史に葬り去られがちな戦争によるトラウマによって人が変わり、家族や子ども等に暴力的に振る舞うDVといった部分も、丁寧に描いているところに共感出来た。
戦後の、戦中とは大きく変わった日本社会について行けきれない人たちも描いていて、そう簡単には変わり切れない部分、でも戸惑いながらも現実に向き合っていこうとする複雑な心境にリアルを感じた。
太平洋戦争前、日中戦争中から特高の下っ端の役職にいて、喫茶店の常連客だった中年男だった人の弱みに漬込み、自分の出世の為なら手段も選ばないような非情な男だったが、戦後は何にもかにも、噛み付き、批判し倒し、以前と丸っきり態度やスタンスが変わっているように描かれており、こうまで人って変わるものなのかと呆れた。
また、元特高で自分がかつてしたことは反省せず、自分の上司を批判したり、世の中が戦争に向かって突き進んでいく最中に、日本のエリートや知識人、日本のメディアが日本の軍部や政府の方針を明確に批判しなかったから、暴走していき、空襲や原爆をアメリカが落とすことになるんだと言うような無責任極まりない発言をする露骨に下卑て厭らしい、何処か媚びた感じに簡単に転向してしまう風にその元特高の下っ端男を描いており、人ってこうまで居直れるものかと、現代日本における自民議員の裏金議員が選挙で大勝して国民を舐め腐り、開き直る光景と何処か重なって見え、過去の人たちのこととしてだけで片付けられない問題だと感じ、考えさせられてしまった。
自分も、知らぬ間に思考停止していないか、無意識に諦めたりしていないか、この劇を見て、自分の普段の行動や言動を見つめ直す機会となって良かった。