とき語り 源氏物語 公演情報 SPACE U「とき語り 源氏物語」の観てきた!クチコミとコメント

  • 実演鑑賞

    満足度★★★★

    「源氏物語」の背景や情況を分かり易く語り、登場する人物は能楽の所作を意識した動きで端正で緩みのない演技が見事。光源氏が生まれ老いる迄の長い年月を、宮廷内の権力抗争と彼の情愛を中心に描く。休憩を挟んで前半は光源氏が幼い頃(3歳)迄、後半は時が経ち青年期(23歳)以降を紡いでいく。現代語訳を読んだことがあったが、改めて光源氏の人間性を垣間見たような感覚だ。見応え十分。
    (上演時間2時間20分 途中休憩10分)

    ネタバレBOX

    能舞台に紗幕衝立3枚。それを場景(寝所等)に応じて動かし物語を紡いでいく。冒頭 黒衣裳(女性の上衣は濃紫)の男女が客席に向かって錐直に並び、地位や対立を表しつつ左右に分かれて座る。場景の主役を担う時は、色彩ある上衣を羽織る。
    平安京の条坊や(大)内裏そして清涼殿などの配置を語ることによって、現代とは異なる時代の様相を説明する。「源氏物語」を形成している往時の概要を とき語りしている。照明、音響/音楽といった技術は現代的で生演奏ではない。
    因みに脇正面席は使用しない。

    物語は、帝の寵愛を受けた桐壷更衣が美貌と才質に恵まれた第二皇子(後の「光源氏」)を産んだが、すでに第一皇子(朱雀院)の母となっていた弘微殿女御をはじめ他の女御・更衣の嫉妬・憎悪を受け心労のはてに病死したところから始まる。光源氏は神才を発揮したが、将来を危惧した帝によって臣籍に降され 源の姓を賜る。そして「夕顔」「若紫」などの話を点描し 光源氏が父帝の庇護のもと、多感な青春の日々を悩み彷徨する姿として描く。情景によって「源氏物語」で詠まれている和歌を披露する。

    父帝が寵愛している藤壺宮(母 桐壷に似ている)への恋慕、そして宮は妊り背徳の罪への怖れから藤壺宮への接触を断念する。「源氏物語」の帖は続き、本作では光源氏が出家した後も語っている。チラシに「母の幻影を求め・・父の背を追いつづけて生きた光源! 晩年を迎え その答えを 今は亡き父母に問う‼」とあるから回想のように思えるが、原作には 光源氏の死(本文)は無かったと思う。むしろ物語を順々と展開することで、光源氏という類稀なる人物の青春期を瑞々しく活写し、能という様式美の中で確かな息遣いを観(魅)せている と思う。一方、宮中宿直所で頭中将や左馬頭・藤式部丞?と語り合う様々な女性論の場面は、能とは違う現代的な表現。

    古典の物語を語りで補い、現代にも通じる恋愛譚が観る者の心に迫ってくる そんな心情を描く。「源氏物語」の時代と現代では、恋路の習慣や決まり事 もっと言えば恋愛観・結婚観は異なり、必ずしも今の人が同じ出会いや別れを経験するわけではない。しかし男と女が愛し求めあう、幸福と不幸、喜びと悲しみの間で揺れる心情は時代に関係なくあるのではないか。物語には様々な障害があり、登場する女御たちは喜び 時に不安や苦悩に身悶えている。宮中と堅苦しいと思われがちな能の型(様式美)を重ね、その中で 敢えて現代的な語りを用いた型破り的な描き方、そこに斬新な新鮮味を感じた。
    次回公演も楽しみにしております。

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    2026/02/19 18:59

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