アオイの花 公演情報 “STRAYDOG”「アオイの花」の観てきた!クチコミとコメント

  • 実演鑑賞

    満足度★★★★★

     犯罪を犯すことになる者、被害者となる者とその家族。そしてこれらの人々を取り巻く社会。様々なことを考えさせる舞台。観るベシ!

    ネタバレBOX

     盤上は基本フラット。必要に応じ舞台美術がセットされる。オープニングは極めて曖昧に創られている。物語への導入に開演前から役者たちが板上に集まり、キャスティングをしたり、ジョークを飛ばしたりと、稽古中の出演者らの和気藹々な様子を置き、被害者家族の平凡で和やかだった家庭生活と等位であるかのように描いて、往時14歳だった少年が引き起こし、日本中を震撼させた酒鬼薔薇聖斗事件の犯人、少年Aを犯人モデルとして選び、今作では通り魔事件として描かれた今作のシリアスな内容に繋げてゆく。
     結果的には殺害された少女(愛生/あおい10歳)は、物語の中核を為す家族の娘であった。両親、兄ら家族の苦悩と家族の受けた深い傷にお構いなく殺到するマスコミ、殺人犯出身校の校長、教頭ら学校関係者らのお詫び対応を通して謂わば硬い職に就いている人間の欺瞞・社会的アリバイ作りの厭らしさを端的に示している。事件勃発によって全く変わってしまった一家の日常に所轄の担当刑事らへの対応、頭骸骨を砕かれながら必死に生きようとする愛生の見せる生き抜くことそのものの姿、神経の磨り減るシリアスな状況を何とか両親が堪え得たのは、この愛生の頭蓋骨を砕かれ、顔も酷く腫れていたのを徐々に癒しながら生き抜く姿であった。心を痛めたのは無論、両親ばかりではなかった。妹を可愛がっていた兄も愛生の死後、犯人を憎む余り常態を逸してゆく。終盤は愛生の十三回忌。家族の負った傷は癒えてはいない。然し唯犯人を憎み続けるだけでは何も解決しないことに気付いた家族それぞれが、生き続けることそのものの大切さに気付き生きてゆく道を選ぶ処まで来ている。「車輪の下」でハンスを描いたヘッセの言葉が引用されたりもして感慨深い。

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    2026/02/14 18:48

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  • STRAYDOGのみなさま
    世の中の歯車が微妙に狂い始めて既に100年を超え、ドンドン加速してきているように思います。ラフカディオ・ハーンが理想とした日本が持っていた揺蕩うような心、それを最も欠いているのが現在の日本人でしょう。神経が磨り減るばかりですが、貴劇団の実践しているような活動、訴えこそが我々が日夜経験しているこの神経の磨滅に対する防波堤の基礎の一つであるように思います。

    2026/02/16 16:34

    ご丁寧で読み込まれた感想をありがとうございます。重い題材の中にある家族の歩みや、生きることの意味まで受け取っていただけたことを嬉しく思います。開演前から始まる演出や、歌・ダンスを織り込んだ構成も含め、作品全体を細やかに感じ取っていただけたことが何よりの励みです。
    この物語は、突然日常を奪われた人々が、それでも前を向いて生きていこうとする姿を描きたいという思いから生まれました。舞台を通して何かが心に残ったのであれば、創り手としてこれ以上の喜びはありません。
    いただいた言葉を胸に、これからも一作一作に真摯に向き合ってまいります。ご来場、そして温かいご感想に心より感謝いたします。今後ともどうぞよろしくお願いいたします。

    2026/02/16 12:33

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