迷光、あるいは、残照。 公演情報 風雷紡「迷光、あるいは、残照。」の観てきた!クチコミとコメント

  • 実演鑑賞

    満足度★★★★★

    面白い、お薦め。
    心地良い緊張と緊迫感に溢れたサスペンス劇。説明にある「児童誘拐容疑で逮捕された箒木美津子、警察から精神鑑定を依頼される若き精神科医速水ひかる」を中心に物語は展開するが、登場する1人ひとりにも何らかの苦悩や葛藤を背負わせることによって解離性同一性障害という特殊性を浮き彫りにする。彼女の中で源氏物語に登場する姫達の立ち位置や性格などを多重人格の様相に重ね、照明と音響を巧みに使って人格変化を表す。

    少しネタバレするが、事件を始め人々の背景にある心の深淵、その伏線をすべて明解に回収するのではなく余白というか余韻に浸らせるような紡ぎ方が好い。すべてが解明しきれるわけではない心の病、どうして解離性同一性障害を発症することになったのか という原因や過程をサスペンスとして観せつつ、根底にはヒューマンドラマが息衝いている。

    劇場 楽園には中央に柱があり、それをどう使うかといった演出が試されるところだが、本作では 過去の記憶や情愛を表しつつ、現在の別空間を表現し表出させる妙。
    (上演時間1時間55分 休憩なし)

    ネタバレBOX

    舞台美術は国見総合病院の速水医師の診察室。丸絨毯に中央に丸テーブル、2組対になった椅子が4脚。奥のスタンド衣桁に白衣、その横に飾棚と小物。中央の柱には多くのアルバム写真が飾られている。柱を境に過去と現在が分かれているようだ。

    都内で児童誘拐が頻発し 箒木美津子がその容疑者として浮かび上がる。警察から彼女の精神鑑定を依頼される若き精神科医速水ひかる。物語は解離性同一性障害に表れる人格を源氏物語の姫達に、そして精神科医を光源氏に準えている。登場(声だけ)しないが病院の跡取り娘 葵と婚約している。 美津子は子供の頃、母に連れられてデパートの屋上にあるミニ遊園地で遊ぶのが好きだったが、或る日 母が美津子を道連れに飛び降り自殺をした。幸い美津子は母の上に落ち一命を取り留めた 悲しい過去がある。

    美津子には2人の子(年子の男と女)がいたが、男の子は5歳の時に亡くなり、今は娘の秋子と2人暮らし。今 美津子の1人の人格が誘拐し、別の人格が迷子として戻す(届け出る)ことを繰り返していた。亡くなった息子への愛着、それを嫉妬した秋子。或る日 美津子が誘拐した男の子を…。警察は 秋子を逮捕しDNA鑑定(秋子の手首傷と男の子の爪の間にあった皮膚)をするが、肝心なことは黙秘していると…犯人か否か明らかにしていない。

    一方、速水は若くして精神科医師として有名、しかしそれには訳があった。父は旧家の家柄で母は父亡き後、祖母から家を追い出された。自分が有名になることで母が訪ねて来てくれることを期待。また刑事の藤原匡は、仕事に没頭し妻 夕美子との団欒を後回しにしていた。事件が解決したら旅行でもしよう が口癖。しかし 夕美子は藤原の事件の件で風評被害に遭っており、それが原因で自殺していた。今の時代、個人情報なんてすぐ知られ、嘘と噂が拡散される。

    公演は、人にはそれぞれ痛みや悲しみがあるが、それに立ち向かうために多重人格を作り出すか、人格崩壊しないよう耐えるか を登場人物に担わせている。人格統合の良し悪しではなく、どう生きていくかといったところに<光>を当てている。
    次回公演も楽しみにしております。

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    2026/02/13 00:47

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