舞台『世界の終りとハードボイルド・ワンダーランド』 公演情報 ホリプロ「舞台『世界の終りとハードボイルド・ワンダーランド』」の観てきた!クチコミとコメント

  • 実演鑑賞

    既に公演も終盤。例によってキャスト陣を改める事もせず劇場へ駆け込み、真っさら頭で観劇(俳優に無頓着では今やないのだが..)、流石に藤原竜也は分かったが他は博士役の声に聞き覚えあるのみ(池田成志)。「一体誰だろう」と後の答え合わせが観てる内に楽しみになる。
    自分的に出色は森田望智(みさと)、セカ終とワンダーランド両の世界の女性役が最初青い衣裳を共通点にした別の俳優かと見紛った程、キャラと顔立ちまで違って見えた。やり手とは聞いていたが成程であった。
    原作を読んで30年以上経ち記憶の底に沈殿していたものが、徐々に思い出され、かくもストーリー性のある小説であったかと驚きもあり、ラブストーリーであった事や、二つの世界の関係も。。

    ネタバレBOX

    開幕すると舞台は黄昏れた空に所々に立つ樹木のシルエット、四つ足の一角獣が優雅に群れ、歩く。ダンサーらが薄青の斑点のあるボディと細長い脚(前脚の方は腕の先に長いのを装着)、額から伸びる真っ直ぐな角とで草原をゆっくりと歩いている。天敵はいない。「世界の終り」と呼ばれるその場所は実は主人公の深層心理の領域に構築された独自の世界で、もう一つの世界である「ハードボイルドワンダーランド」(現実=架空の近未来)の時間と並行して描かれる。冒頭、ピンク色の服を着た娘に案内され、苦労して世界の終りへ赴くのだが、辿り着くと門番から影を切断され、入城を許される。そこでの彼は駒木根葵太が演じる(現実の彼は藤原)。そこで彼は骨から太古の夢を読むという使命を与えられる。その窓口にいたのがヒロインである。
    さて現実世界では、彼に特殊技術を教えた博士との関係でほぼ完結した生活圏の中に、その娘、図書館司書の女性が加わり、彼のミッションとしての「骨(動物の頭の)」の謎解明の過程で「追われる身」となり地下へと向かう。暗闇の中に存在する異形の者たちと一角獣、そして場面の心象を表現する粘着性の高い舞踊(ソロ)など場面転換要員としてダンサーらが舞台を行き交う。これが演出上の大きな特徴。物語は、世界の終りという感情=影を失った(ロボトミー手術を施したよな)完結した世界で切り離された故に早晩死ぬ事となる影が、そこでの移動の自由がある主人公に地図の作成を頼み、探索をする。人が行きたがらない西の堪りや森が、不思議な表情を見せ、この世界の性質を示唆する事を主人公も感じるが、いざ影と対面し、死を目前にして脱出の決行を待ちかけた影に対し、主人公はそこに留まる事を告げる。ここに至っては殆ど詩の領域であるが、現実世界での彼が覚える自己を取り巻く世界との接続における不全感は、当時読んだ「風の歌を聴け」や「1973年のピンボール」の漂白された世界感をふっと思い出させるものがある。
    この空白感は、コンテンツに事欠かないこの21世紀現在の生活の根底にも、地下水脈のように流れている事を思ったりする。

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    2026/01/29 17:38

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