リアル、ちょっとムズい。 公演情報 友池創作プロジェクト「リアル、ちょっとムズい。」の観てきた!クチコミとコメント

  • 実演鑑賞

    満足度★★★★

    面白い。
    説明にあるように現実と虚構が交差し 混沌とした世界に迷い込むような錯覚劇。しかし虚実の区別は役者の演技は勿論、衣裳等メリハリをつけ 分かり易い観(魅)せるエンタメ作品になっている。
    ヒロイン美月が 現実では仕事も続かず家に引きこもる日々、そのワケ(原因)が肝。それが大人の会話というか人間関係の悩みの背景として描かれており、少し切ない。劇中の台詞にも何回か出てくる「なんとなく」といった曖昧さ、気軽に繋がれるようになった現代、それでも信じられないことが多い。いや気軽だからこそ危ない といった描き方でもある。

    何でも明確な境界(線)を引き スピード感を求める、そこに現代社会の息苦しさが浮き彫りになる。それでも人は もがきながら生きている。美月が 拠り所としたのが仮想世界、そのアクションシーンが見所の1つ。
    人と少し違っているだけで仲間外れ 疎外感を感じてしまう、それがエア縄跳びの光景。理解されづらい人たちを描いており、情況・状況は違っても 自分と重ね合わせてしまい考えさせられた。ちなみに舞台美術はシンプルだが、RPG世界+自縄自縛を思わせるようなもので興味深い。
    (上演時間1時間45分 休憩なし)

    ネタバレBOX

    舞台美術は上手に金網状の壁、下手は引戸があり場景変化に利用。上演前は下手に横にした直方体の上に服が散乱している。引き籠っている美月の部屋の様子であり心の乱れといったイメージ。金網(RPGの世界)の中に閉じ籠り、心を閉ざしている。一方、引戸は外に通じる道であり多くの人が出入りする。そこに救いの手が差し伸べられているようだ。

    前に働いていた職場で仕事の段取りが出来ず迷惑をかけ、そのトラウマから働くことが怖くなった。いつの間にか引き籠りになりRPGの世界へ逃避し始める。美月は、ゲームの世界ではヒーローで居心地が良く抜け出せない。そんな彼女を心配する母 真矢は、何とか社会に適合させようと、知人にホームセンターでの仕事を紹介してもらった。ここにも美月と同じように仕事がうまく出来ない中年男 津田がいた。その姿を見た美月は自分に重ね合わせ愕然とする。

    表は 当たり前の日常を生きることが難しい、そんな心の孤独を描いた逃避行。その裏でRPGで活躍する仲間とのアクションが生き甲斐にもなっている。その表裏が彼女の現在の在りのまま。彼女を心配する母親は、世間的には著名な教育評論家で まさか娘が引き籠っているとは言えない といったジレンマを抱えているような描き方。この母娘の確執を思わせることによって、単に社会不適合というだけではなく、支配と服従といったことも…。

    母の「ADHD検査を受診」という言葉から、彼女の状態がそれとなく解り、母は毒親ではなく真に心配していることが後々分かる。美月の周りを気にし流される、そこに現代人の心の弱さ、確固たる自我を持っていると思っていても、実はそれが幻想でしかなく、空虚さが顕わになったとき自分自身を見失うよう。その表現し難い不安定さが浮かび上がるような好作品。
    次回公演も楽しみにしております。

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    2026/01/18 10:08

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