国道五十八号戦線異状ナシ(再演)/国道五十八号戦線異状アリ(友寄総市浪短編集) 公演情報 国道五十八号戦線「国道五十八号戦線異状ナシ(再演)/国道五十八号戦線異状アリ(友寄総市浪短編集)」の観てきた!クチコミとコメント

  • 満足度★★★★★

    駆け抜けた若者たち-『異常ナシ』
    解散公演ということもあるけれど、いろんな意味で思い出に残りそうな作品です。
    国道五十八号戦線が本作でグランプリを獲った年のシアターグリーン学生芸術祭は全く観ていないのですが、今回観てこれならグランプリも納得の力作だと思いました。
    劇団の解散を知ったのは友寄さんのブログの文章で、彼の胸の内を想像するに、読んでて苦しくなるほどでしたが。
    活動期間はけっして長くなかったけれど、「記憶に残る」劇団となることでしょう。
    大学の先輩にあたる谷賢一さんが演出し、自分の見知った他の劇団員さんたちも蔭でスタッフとして公演を支えていたようで、厚い友情を感じました。
    最初で最後の観劇となりましたが、解散に立ち会えて本当によかった。
    HPの劇団員たちの写真を見ても、みんな「面魂」という言葉がピッタリのいい表情をしている。
    駆け抜けてきたカッコよさを感じる。
    俳優たちは解散後も個々に活動を続けるのだろうから今後の活躍が楽しみだ。

    ネタバレBOX

    ここで描かれてる「オキナワ」はあの沖縄と思ってもいいし、架空の地だと思って観てもいい、と思った。
    現実の沖縄が抱えている問題や日本の核保有、防衛問題も描かれ、社会的な視点もしっかりしているが、笑いもあり、臨場感があって飽きさせない。
    オキナワ復帰闘争を闘って挫折を経験した住民のスージー(詩森ろば)が自ら述懐しながらセイテツ(山本卓卓)を説得する場面が特に印象に残った。
    彼らの根城の小屋は復帰闘争時代にも使われ、ドアを開けたら、なぜか壁が迫っているが、セイテツはその向こうに何かあると信じて闘いたいと言う。私には70年安保の時代の活動家の若者を連想した。
    しかし、ラストのアナーキーで突き抜けたノーテンキな明るさは21世紀の若者だ。そこに救いを感じた。
    「何事もヴィジョンがないとダメなんだな」ということを痛感した芝居。現在の政治状況にも通じる。
    女優としての詩森ろばを観るのは初めてなのでワクワクした。スージーはシャーマンの能力がある女性だが詩森は力むことなく驚くほど淡々と演じるので、役の人物に信頼感を抱いてしまう。しかし、炊飯器と米を使った妙チクリンな呪術で同じ劇団の浅倉洋介演じる外務省のガモウに米をぶつける場面、風琴工房ファンの私は思わず笑ってしまった。浅倉は翻弄されながら必死に抵抗するさまが面白い。ハマカワフミエが楽天的な南国の娘を好演。
    こういう床にゴミがちらかってるような埃っぽい芝居は本来は苦手だが、脚本が面白いので気にならなかった。
    観られなかった家族へのお土産と記念に初演のDVDを買って帰りました。自分で公演DVD買ったのは初めて。
    記憶に残る舞台をアリガトウ、さらば国道五十八号戦線!

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    2010/12/13 23:48

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