春琴(しゅんきん) 公演情報 世田谷パブリックシアター「春琴(しゅんきん)」の観てきた!クチコミとコメント

  • 満足度★★★★★

    陰影の奥
    物語が春琴抄、全体のビジュアルコンセプトが陰翳礼讃、というイメージ。
    クライマックスになだれ込んでいくくだりは春琴抄の文体そのものの、句読点や改行が省かれていても、けっして躍動的というのではなく、じわじわ上り詰めていくあの感じが見事に舞台に乗っていて美しい。
    薄暗く湿り気をおびて光る、役者、人形、畳、着物。鳴くように響く三味線。サイモン・マクバーニーは、作品解釈や演出手法を見せるよりも、わたしたちが美的感覚を研ぎ澄まして谷崎の作品を「感じる」ようにしてくれたみたいだった。

    ネタバレBOX

    幼い春琴は、話者があやつる人形で舞台上にあらわれる。場面転換も、流れるようになめらかに、畳や木の竿や、シンプルな道具で寝所、三味線の御稽古場、ほの暗い廊下などがつくられる。歳を取って、佐助にとって本当の人間となったときに、春琴は人形ではなく、女優の演じる身体となったのだ、と、わかった。

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    2010/12/13 00:31

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