満足度★★★★
即興の楽しみ
初めてちゃんとしたインプロ劇を観ましたが、役者、照明、音楽が駆け引きしながら展開して行く様がとても楽しかったです。
「1212」というお題以外は何も決まっておらず、役者5人それぞれの12月12日の朝についての報告が同時多発的に語られるところから始まり、大根おろしの作り方、マザコン男の就職活動、コンビニでトレーニングする男のボクシングの初試合、山手線内での露出狂、影絵による竹取物語と桃太郎、スポーツ用品社員の不倫、ゼウスとエンジェルなどのエピソードが次々に現れ、音楽(これもキーボードによる即興演奏)に合わせてミュージカル風なシーンになったり、シリアスな雰囲気になったりと変幻自在のアンサンブルを堪能しました。
それぞれのエピソードが投げっぱなしにならず、終盤に半ば強引ながらもそれぞれを関連付けて、ちゃんとオチを付ける技量には感服しました。言葉が途切れたり、舞台上で本当にくしゃみをしてしまってもすぐさまそれをネタにして話を展開して行く機転の利かせ方もユーモアに満ちていて良かったです。
ここ最近観た舞台の中で一番笑えて気持ち良かったです。と同時に舞台作品として作り込む内に鮮度が落ちて行きがちな、演劇における笑いの扱いの難しさを感じさせられました。