満足度★★★
面白い演出
モテたいと願いつつ、受け身でなかなか自分から動き出せない女性がもがくさまを、ちょっと変わった演出でエネルギッシュに描いた作品でした。
開場すると、開演まで十数人の人たちが舞台両袖間を歩いて往復し、舞台後方には様々なサイズの何十個ものグレーに塗られた木枠が立て掛けられていて印象的でした。「モテたい!」との絶叫で物語が始まりますが、歩行者立ちは絶えず歩き続けていて、孤立感がポップに表現されていました。
木枠だけを使って携帯電話から車、カフェ、オフィスまで表現するアイディアが、頻繁な場面転換をスムーズに接続していて素晴らしかったです。クライマックスの水の扱いも主人公の心情にマッチしていつて、心に残るシーンでした。
美術や役者の動きに関する演出は良かったのですが、役者たちが台詞を絶叫して何を言っているのか聞き取れないところがたくさんあって、ストレスを感じました。後半の静かなシーンとの対比を考えてのことだとは思いますが、やり過ぎで逆効果になっていると思いました。
面白くないギャグが何度も繰り返されるのも辛かったです。冒頭のシーンであった、歩きながら話していて舞台袖に入ると台詞の途中でもスパッと途切れて、また舞台に出てくると中断したところから再開するといった、構造的なユーモアをもっと見たかったです。
脚本や演出はとても楽しめたので、もう少し落ち着いたトーンの演技で観てみたいと思いました。