百枚めの写真 公演情報 トム・プロジェクト「百枚めの写真」の観てきた!クチコミとコメント

  • 満足度★★★

    役者さんには文句なし!
    だけど、劇作、演出が、残念ながら、とてもプロの仕事とは言い難いものがありました。
    まるで、小学校低学年の子の書く遠足の作文みたい。

    幾ら原作があるからと言って、その何に比重を置き、何をクローズアップし、何を削るか、原作のいいとこ取りをして、どう自分の戯曲として昇華させるかが、プロの劇作家の腕の見せ所だと思うのですが…。

    挿入音楽も、馬鹿の一つ覚えの、叙情的楽曲の安直リフレインで、観客の涙腺を緩ませようという魂胆が見え見えな感じを受け、途中から辟易しました。

    でも、大西多摩恵さんを始めとする、役者さん達の演技はどなたも素晴らしく、こんないじけた根性の観客でさえ、ちょっとほろっとさせられてしまいました。

    星は、全て、役者さんへの賛辞です。

    ネタバレBOX

    さすがの名優、田中壮太郎さんも、冒頭の、脚本的に芸のないナレーション台詞には、珍しく自信のなさが見えました。
    だって、あれだけ、長々と演劇と言う本質と掛離れた説明台詞が延々続いたら、役者さんは、体感でわかると思うのです。観客の気持ちをどんどん置き去りにして行く状況が…。それでも、記者役になり切って、無理矢理演じ続けなければならない田中さんが、お気の毒に思いました。

    これで、もし、役者さんの奮迅がなければ、途中で退席していたかもしれません。

    戦時中の、兵隊の留守家族の写真という、事実の重さに寄りかかり、まるで、創意工夫のない、脚本、演出には、呆れましたが、その99枚の写真の家族の中で、代表として取り上げられた一家族の物語部分は、役者さんの熱演のお陰で、それなりに、笑いも感動もあり、卒のない芝居になっていたことが救いでした。

    田中さんファンなので行ったのですが、3人の女優さんの芸達者ぶりに、観劇を後悔するまでに至らず、大変感謝しました。

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    2010/12/09 01:40

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