百枚めの写真 公演情報 百枚めの写真」の観てきた!クチコミ一覧

満足度の平均 3.7
1-4件 / 4件中
  • 満足度★★★★

    伝え残すことは
    泣いてしまいました。本来演劇とはこういうことをいうべき場所なのかもしれません。思えば戦争が終わったのはつい最近のことなのですよね。戦争を知らない子供たちですけど、自分の親は子供のころ体験している。「戦争」。それぞれの想い。芝居というよりドキュメンタリーリポートを観ているようでしたが、それも「あり」かなって、いろいろ考えさせられました。

  • とても陳腐な芝居だと思った……
    ……かもしれない、あれらの写真がなかったら。いや、決して芝居が悪いと言っているわけではないんだけど、戦争関係のものっていくらでも感動しちゃう話ってあるわけで、ハードル高いじゃないですか。そんな中、舞台に大写しにされる写真に、圧倒的な力がある。それは、戦地にいる父親や夫や息子に送るための家族写真。家族写真といっても、父親や夫や息子がいない、欠けた所のある家族写真。人数も服装も表情も様々なんだけど、彼ら彼女らの視線のはるか遠くにいるのは、その写真に足りない誰かであり、帰らないかもしれない誰か。そう思って写真の中の人たちの瞳を見ていると、それだけで泣けてくる。その一方で、淡々と投影される写真が、お涙頂戴っぽくなる物語を現実に引き戻すような力もある。庶民の記録ともいえるしゃしん。その静止画をうまく物語に溶け込ませ、しかも効果的に使って独特の作品にしていると感じた。

    ネタバレBOX

    しかし、最初にスカイツリーが登場するとは(笑)! それに主人公の役者は、1人3役ですよ(笑)!
  • 満足度★★★★

    原作をうまく生かして、その世界を伝えてくれた
    市井に生きる(生きた)人々の悲しみ、怒り、楽しみ、そして、それらをすべて包み込む「生活」がそこにあった。

    ネタバレBOX

    原作『一銭五厘たちの横丁』は、昭和18年に撮影された、出征兵士の留守家族たちの写真をもとに、30年後の昭和48年に、そこに写っている人々はどうしているのかを、探していくドキュメンタリーである。

    原作は、かなり昔に読んだのだが、とてもいい作品だったという記憶がある。ただし、そこには1つの物語があるわけではないので、それをどう舞台にするのかが気になっていた。

    とは言え、作・演のふたくちつよしさんは、原作モノを雰囲気を壊さずに手際よくまとめる方なので、期待はしていた。同じトム・プロジェクトでは『ダモイ~収容所(ラーゲリ)から来た遺書~』でも、登場人物が多い原作の雰囲気を壊さず、見事に3人芝居に仕上げていたからだ。

    今回は、ドキュメンタリーのルポである原作を、ある1つの(架空の)家族に焦点を当て、多くの氏名不詳の人々の、声なき声を聞かせるように、丁寧に一般の人々にとっての戦争を語っていた。
    それは、決して、派手さや声高になることはなく、市井に暮らし、戦争によってその暮らしを破壊されてしまった人々の姿だった。

    実際の写真は、実に饒舌であり、そこにある物語は、舞台にあるそれよりも大きく感じてしまうこともあるのだが、台詞のやり取りが見事で、ある家庭の物語が静かに語られていた。

    冒頭に映し出される、雰囲気を残しつつ、変わっていく街並みの写真がこの物語を見事に語っていた。今回の舞台のために探し出してきたのだろうか。
    実際に原作に登場する写真が大きく映し出され、そのコメントが読み上げられただけで、本の内容を思い出し、また、そこに写る家族の姿に、家族の歴史を垣間見るようで、すでに目頭は熱くなった。

    原作にある写真をできるだけ使いたいということと(たぶん)、場面転換ということもあり、やや、写真+コメント、暗転が多いという気がしたが、それは、演じられる家族の動く物語の対比として、気持ちを穏やかにさせ、集中させる効果はあったと思う。
    実際、1時間50分の上演時間は、まったく長く感じなかった。

    初日ということもあり、やや固さもあったが、6人だけで、演じきった役者さんたちには大きな拍手を送りたい。

    ただ、冒頭で平成の現在から始めるのは、少々無理があるのではないかと思った。実際舞台の上は昭和48年と戦中・戦後の物語であり、語る主人公の年齢や、時代設定がわかりにくくなってしまうということがあるからだ。
  • 満足度★★★

    役者さんには文句なし!
    だけど、劇作、演出が、残念ながら、とてもプロの仕事とは言い難いものがありました。
    まるで、小学校低学年の子の書く遠足の作文みたい。

    幾ら原作があるからと言って、その何に比重を置き、何をクローズアップし、何を削るか、原作のいいとこ取りをして、どう自分の戯曲として昇華させるかが、プロの劇作家の腕の見せ所だと思うのですが…。

    挿入音楽も、馬鹿の一つ覚えの、叙情的楽曲の安直リフレインで、観客の涙腺を緩ませようという魂胆が見え見えな感じを受け、途中から辟易しました。

    でも、大西多摩恵さんを始めとする、役者さん達の演技はどなたも素晴らしく、こんないじけた根性の観客でさえ、ちょっとほろっとさせられてしまいました。

    星は、全て、役者さんへの賛辞です。

    ネタバレBOX

    さすがの名優、田中壮太郎さんも、冒頭の、脚本的に芸のないナレーション台詞には、珍しく自信のなさが見えました。
    だって、あれだけ、長々と演劇と言う本質と掛離れた説明台詞が延々続いたら、役者さんは、体感でわかると思うのです。観客の気持ちをどんどん置き去りにして行く状況が…。それでも、記者役になり切って、無理矢理演じ続けなければならない田中さんが、お気の毒に思いました。

    これで、もし、役者さんの奮迅がなければ、途中で退席していたかもしれません。

    戦時中の、兵隊の留守家族の写真という、事実の重さに寄りかかり、まるで、創意工夫のない、脚本、演出には、呆れましたが、その99枚の写真の家族の中で、代表として取り上げられた一家族の物語部分は、役者さんの熱演のお陰で、それなりに、笑いも感動もあり、卒のない芝居になっていたことが救いでした。

    田中さんファンなので行ったのですが、3人の女優さんの芸達者ぶりに、観劇を後悔するまでに至らず、大変感謝しました。

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