横浜ヶ国 公演情報 雀組ホエールズ「横浜ヶ国」の観てきた!クチコミとコメント

  • 実演鑑賞

    満足度★★★★

    面白い!
    現代の政治問題の核心を突いた内容だが、雀組ホエールズにかかると笑い楽しみながら政治講座を観聞きしているような感じ。荒唐無稽な設定であるが、仮にそうなったら日本国民や横浜市民はどのような判断を下すのだろうか?観客という傍観者というわけにはいかない。当事者として「横浜ケ国」という舞台に上り主体的に考え動かなければならない。

    公演は政界、いや正解を用意しているわけではない。しかし GHQによる戦後 占領政策や日米安全保障条約に関わる日本の対応をみると、真実なのではと勘繰ってしまう。政治の闇に潜む事実を面白可笑しく炙り出すような展開、その観(魅)せる巧さは見事!演劇としての隠されたモキュメンタリーといった印象を受けた。

    少しネタバレするが、独立の噂が流れた横浜市陣営の市長 二俣川たか子(棚橋幸代サン)は赤いスーツ、一方 永田町陣営の総理大臣 石瓦一郎(阪本浩之サン)は白いスーツと対照的、それ以外の登場人物も原色基調の衣裳を着ており、立場の違いを鮮明にしている。そしてアメリカ陣営の謎の東雲タロウ(山下規介サン)は、コミカルな演技が多い中で ブレることなく芯ある人物を立ち上げ、物語の重しになっている。そのピリッとした存在が良い。
    (上演時間1時間45分 休憩なし) 

    ネタバレBOX

    舞台美術は、上手/下手の幕にカラフルな布を張り合わせた大きな衝立。情景に応じて可動する平台が、衝立間の出ハケ口から現れる。また海を表すため舞台と客席の間に細長い薄布を波打たせる。冒頭 総理大臣 石瓦が、その海で東雲一味に拷問(吊り責め)されているところから始まる。

    日本は、アメリカにとって東南アジアにおける橋頭堡。特に東西冷戦時においては重要な役割(地政学的)を担っていた。だからこそ、植民地化せず日本という”国”のまま存続させた と。歴代首相は「日本は独立」と言いつつ、アメリカと密約を交わし実質 植民地化を認めた施策を実施。それが「米国の傀儡国であり 『戦後100年目の2045年に日本が米国に吸収される』ことも密約」されている。劇中で憲法解釈、特に第9条を巡って二俣川たか子は戦争放棄を強調、そこに偶然であろうが現在の日中関係を考えさせる。高校生など市井の人々を前に政治の話をするが、それが「政治講座」のようで分かり易い。分かり易ければ良い という訳ではないが、下手にプロパガンダに陥るようなことはない。

    「横浜ケ国」という設定が妙。物語は神奈川県陣営として座間市と横須賀市の市長を登場させている。勿論 駐留米軍基地がある市である。大局(国家)的見地からすれば、市(長)の思惑など取るに足らないー劇中でも永田町陣営とあまり絡まない。なぜ「横浜ケ国」の二俣川たか子が注目されるのか。実は石瓦総理と旧知の間柄で、昔ある約束をしていた という内緒話が…。アメリカ陣営の暴力的な脅しに屈しない 二俣川市長、東雲は 日本の政治家の資質を試していたような。政治家は信念を持って為政をしているのか、どこを向いた政治なのかを問うている。東雲曰く、日本は「ハラキリ・カミカゼ・カロウシ」といった自己犠牲で成り立っている。本来、政治や社会そして人間の関係は信頼に基づくもの と。

    舞台美術はシンプルだが、場景に応じて可動する平台を搬入/搬出するなど観(魅)せる工夫をしている。政治という小難しい話だが、時に笑いを交え分かり易く描く。ラストは 日本人が横一列になって畳んだ段ボールを持っている。それは船べりを表し、まさに 日本人は泥船に乗っているという事らしい。なんと象徴的な。
    次回公演も楽しみにしております。

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    2025/12/12 17:55

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  • ご観劇ありがとうございました。そして好評価をいただけたことに胸を撫でおろしました。正直このテーマ自体が受け入れられるか分からず、エンタメとしてどうなのか書いているときも稽古の日々も「僕は面白いけど、お客様はどう思うのだろう」とずっと考えておりました。明日千穐楽を迎えますが、いただいたコメントが力になります。感謝。

    2025/12/14 01:11

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