籠鳥ーCAGOTORIー 公演情報 ショーGEKI「籠鳥ーCAGOTORIー」の観てきた!クチコミとコメント

  • 実演鑑賞

    満足度★★★★

    面白い。初日観劇、その特典として 劇中に登場する曲すべての歌詞が載っている『ブックレット』がプレゼント。
    全10曲が載っているが、物語はその曲にある情況を紡いでいく、逆にその物語用に曲を作詞/作曲したかのような相乗効果を発揮している。謳い文句にある「小劇場ではありえない!生バンドでのミュージカル!」は誇張ではなく、歌って踊り そして観客を楽しませるエンターテイメント。表層的な面白さだけではなく、物語の奥に「古くて新しい問題 というか意識」を潜ませ、悩ませ 考えさせるといった深味のある公演。現代のジェンダー問題にも繋がるような話。

    説明の 「鳥籠の中で12人の女たちが、3人の男をめぐり、歌い!叫び!弾けて!求婚! 恋愛サバイバル」であり恋愛は命がけ。まさに3人の男にとっては 生き残りをかけた崖っぷちである。少しネタバレするが、12人の女のうち、適齢期と言われる女5人と男3人が昔 TVで流行った「パンチDEデート」「プロポーズ大作戦」等のような、恋を成就させる物語だが…。今でもあるのか「結婚適齢期」という言葉、たとえ死語だとしても その意識はあるのだろう。物語が面白いのは 男女の恋の駆け引きだけではなく、人の心にある思いそのものを描いているところ。そして1人ひとりが思い描いている<恋>とは を突き詰めていく。それを体現する役者陣のコミカルな演技が面白い。生演奏もすばらしいが 演奏者3人も劇中に入り込んで笑わせる。
    (上演時間1時間55分 休憩なし)

    ネタバレBOX

    舞台美術は2か所にベンチ状の長椅子。その近くにスタンドマイク2本。壁には格子状のオブジェ、そして舞台を囲うように天井から等間隔に半パイプが吊るされている。舞台上はグリーンで統一、まさに鳥籠の中。この劇場は2面(L字)客席だが、その一部を演奏スペース。女優陣は ヘッドセットマイク使用。

    ある日、12人の女の中から適齢期と言われる女5人を選び、男3人と恋の成就を目指す物語。ルールは、女から好みの男を選ぶことは出来るが、男が女を選ぶことが出来ない(好きと言えない)。男が出来るのは女からのアプローチを断るだけ。そして男は恋の成就が出来なければ処分される という まさに命がけ。

    恋愛につきもの、女は自分の好みと相手に求める条件をいう。曲でいえば「M3 プロフィール 私は何者?」を歌い 「まずは年齢 そして職業、学歴あるいは出身、星座に血液型 だけど見た目 結局顔にスタイル 単純に好き好きが優先」といった外観重視。そして男は「M4 ONE WISH」で「僕の望みは一つだけ 僕だけを見て 僕だけを愛して」と。しかし男は自分の声で歌えない。自分に自信が持てないといった心象表現。女らしさ、男らしさ という曖昧な「らしさ」という意識に自縄自縛されている。例えば 女は「僕」という言葉に嫌悪感を抱き、「俺」と言えと強要する。

    またコロラルド効果を用い、恋愛において周囲からの反対や障害があると、かえって恋愛感情が高まり燃え上がるという心理状態を歌う。一方、愛に慎重になる、そして愛は危険だと自分に暗示をかける。自分勝手に 片思いを決め込む、そんな自己逃避がいじらしい。カラフルな衣裳を着た女たちが(複雑な女心を)切々と歌い上げる。全体的に明るくポップな印象であるが、それぞれを見れば皆 個性的だ。
    次回公演も楽しみにしております。

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    2025/12/04 17:28

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