AI(アイ) 公演情報 こぬかーめ「AI(アイ)」の観てきた!クチコミとコメント

  • 実演鑑賞

    満足度★★★★★

     Bチームを拝見。尺は若干長く2時間25分程。然し全く飽きない。オープニング場面こそ、研究所の模様や出演者が、それも所長役が長髪でその髪をポニーテール宜しく後ろで束ねていたり、やや遅れて入って来た研究者たちが何人も白衣を着ていなかったりで聊か調子が狂わされた感を持ったが、各キャラの特徴や好きなことが分かり、可成り早い段階でAI自体がヒトの心を持ったような伏線が敷かれて以降、今作に対する見方が180度変わった。
     現在実際にAIの進歩は日進月歩等というトロイものではなく秒進分歩以上のスピードで開発競争が進捗していると考えるべきであろう。そしていつか進歩したAIがヒトの心のような働きを獲得するかも知れないという想像は、SFファンのみならず多くの方々にも共有されているのではないか? 無論、より慎重に考察するなら現時点でAIが獲得できているのは既存の発表データを網羅・集約したり分析・統合・解釈して表示したり音声で伝えたりすること等で、己の“存在”としての体験を自らの原資として今までに無かったものの見方や想像力を新たに付け加えることは出来ないと考えられる。(追記24日12:55)

    ネタバレBOX

     つまり、AIは情報を収集し処理しているということだ。そこに実存としての存在は関わらない。飽くまで電気によって駆動されCPUのような演算装置によって膨大なデータを処理しているに過ぎないから、人間が例えば事業の失敗や失恋、希望の根絶、病による死への恐怖や苦しみ、人間関係の様々な苦悩によって発狂に至る程の悩みに責め苛まれる経験を通して獲得した今迄思いつくことすらなかった精神的地平に気付き新たなものの見方や新たな価値観の発見等をするようなことは、今の処できていないと考え得る。然しこの思考が正しいと自信をもって言い切れる者は多くはあるまい。それほどの大問題を今作は提起しているのである。ひょっとして、と期待していたことが裏切られなかった。尺の長さは以上のような理由で全く問題にならず、最後迄集中して拝見することができた。場転の際暗転して移動式テーブル上に必要な場合はその都度小道具を置いて対応する手際も良い。集中が途切れることもなく、休憩が無いにも関わらず兎に角夢中になって観ることができた。始め学生っぽく思えた演技もアンドロイド、ミコに心の萌芽が芽生えたことが伏線として表現されて以降全く気にならなくなっていたので問題無し。 
     板上は観客席対面に大きなぬいぐるみや地球儀、幾多の小さな人形たち、真ん中にポスト型の貯金箱等が置かれた長方形のテーブル。上手に矢張り大きなぬいぐるみ、人形の他にノート、スマホ、タブレット等々の置かれたテーブルがある。出捌けは主として上手ホリゾントの奥から。ホリゾント裏側が袖。下手は場転で用いるテーブル、小道具類の収納場所として機能するので出捌けは上手が殆ど総てを占める。
     既に記したように今作の素晴らしさは、アンドロイドが心を持つ事態を想定して脚本が書かれていることだと考える。それは単にヒトが他のヒトを恋する場合に対し単に異種との恋というコンセプトで括り切れる事象ではなく、ヒトの心に極めて良く似た而も情報量や情報処理能力に於いては人間を桁違いに上回るAIのような知的産物VSヒトの倫理的問題を含む社会問題として極めて本質的且つ深刻な大問題でもある。本当に優れた作品がこのような事象を具体性を通して描くように今作もアンドロイドがヒトを恋する物語として紡いでいる点がグー。而もこの具体性が今作を単にSF的なお伽噺ではなく、近未来に実際に起こってもおかしくないようなリアリティーを持った物語として着地させている。

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    2025/11/24 04:48

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  •  みなさま
     ハンダラです、追記完了しました。

    2025/11/24 12:57

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