満足度★★★★★
ポかリン記憶舎#17『冬の穴』を観て
まず会場についてビックリしました。
てっきりホールだと思ったら、
ホールのロビーに客席があるじゃないですか。
ロビーが舞台という不思議な空間。
ホールの入り口には、喪服の日下部さんが、
ドアを開けて案内してくれていましたが、
既に、この時点で私たち観客も一つの空間に、
入っているということは、物語が進むにつれて分かります。
物語は、淡々と開始します。
葬儀場なので、次々と弔問客が訪れます。
ある者は、淡々と。
ある者は、悲しみにくれてと。
ある者は、絶望に沈んでと。
死者を送ること。
死者を介して、残された生者が繋がり、
新たな縁が生まれていく。
失った過去を取り戻していく。
そこには、悲しみの底でなく、
希望の微かな光が満ちていました。
とても、不思議は空間と物語を体験しました。
まるで静かに森林浴をしたみたいでした。
日下部さん演じたホール係が、
学生時代の後輩である妊婦のお腹を触れて、
「思い出さない」という妊婦のセリフに、
何故かドキッとしました。
何となく過ぎし日の過去と人生IFを感じたからです。
ラストのホール係の親子の確執を、
二つの価値観でぶつけ合った弔問客同士の言い争いと、
その後のホール係の行動に、
希望の光を見た気がします。
この演出方法を知っていたら、
夜の公演が断然いいと思いました。
ホールの円柱の光が、とてもキレイでしょうから。