公演情報
劇団俳優座「存在証明」の観てきた!クチコミとコメント
実演鑑賞
満足度★★★★
鑑賞日2025/11/11 (火) 19:00
数学の話題を使って、謎解きの要素など、いろいろな側面のある作品。俳優座の底力を観た気がする。63分(12分休み)86分。
1977年イギリスの精神病院でアン(保亜美)が数学者リトルウッドの娘だと明らかにするシーンから、1907年のケンブリッジ大でのハーディ(志村史人)とリトルウッド(野々山貴之)が未解決問題「リーマン予想」の解決に協力して取り組むシーンに飛び、時間軸を行き来しつつ壮大な物語が展開される。戦争と科学の問題や、女性の地位や、性的マイノリティの差別、細かいところでは殺人事件の謎解き、そしてもちろんリーマン予想のほかチューリングマシンとかエニグマ解決とかの数学の話題も出て、数学者の協力を軸に描いていて、さまざまな要素を描く大作だが、それだけにテーマが絞りきれていない感じが惜しい。トラムの舞台を縦横無尽に使う美術や、デリケートな照明などは素晴らしく、俳優座の底力を感じる。アン役の保の佇まいがいい。「数」を「数字」と言ったり、「漸近展開」を「ざんきんてんかい」と読ませるなどのミスがあるのは気になる。エンディングはやや冗長だが、これは長田の癖だと思う。