人間になりたがったミミズと、 公演情報 劇団うぬぼれ「人間になりたがったミミズと、」の観てきた!クチコミとコメント

  • 実演鑑賞

    満足度★★★

    社会ドラマか人間(蚯蚓)ドラマか、いずれにしても なんだこれは! と言った おかしな世界に笑っていても、気がつくとザラッとしたリアルな舌触りが残るような作品。この不思議感覚 その形容し難い危うい魅力がこの公演の特長だろう。

    歌も踊りも とりわけ上手いとは言えないが、観終わってもサブリミナル効果に支配されているようだ。荒唐無稽の中に、人間とミミズの世界、コミカルとシリアスな境界を飛び越え、誰もが抱く希望に向かって を描く。その描きたいことは、何となく解る。台詞にもあるが「隣の芝は青い」、それは現代日本が抱える社会問題の1つを表しているようだ。

    物語の核心までの助走時間が長く、休憩までの前半は冗長に感じられる。しかし後半、説明にある「人間になりたかったミミズと ミミズになりたかった人間」の場面になってからは怒涛の展開。この前・後半の落差が激しい。

    また 繰り返しのシーンも散見され、或る意味を持たせているようだが、諄く感じる。構成はコンパクトにして、もう少し早い段階で核心にもっていくほうがいい。遊び心もよいが、観劇歴の浅い観客にとっては 解り易さや適度な心地良さも大切だろう。
    (上演時間2時間35分 途中休憩10分)【C】

    ネタバレBOX

    舞台美術は、中央にアーチ状の出ハケ口、上手/下手に窓。全体がファンタジーな絵柄の壁。場景に応じて階段式の演壇を持ち込む。ミミズの衣裳は白地に青いアクセントを付けて統一。照明は原色による目潰しが強烈。

    梗概はチラシの説明通りで、人間の脳みそを食したミミズが進化しミミズαになる。その維持と更なる進化を目指し 天才人間(脳みそ)を探している。その役目を担ったのが、ミミズ晴れ高校一の秀才 ブンガク。実は 秀才ズタブクロ会長の答案をカンニングして成績優秀になっただけ。人間の脳みそを捕食することは、答案をカンニングして という窃取・横取・剽窃・模倣と同じ。そんなブンガクが探し出した天才人間は小磯サスケ。しかし小磯もカンニングを繰り返してきたバカ浪人生。この小磯探しと人物評価迄が前半。もう少しコンパクトに出来ないだろうか。

    ブンガクは、他のミミズαの反対を押し切って 小磯の尻の穴から体内に侵入し同一化を果たす。かくして「人間になりたかったミミズと ミミズになりたかった人間」が誕生する。人間の世界は差別や偏見(学歴偏重等)、柵(シガラミ)や制約が多く不自由。一方 ミミズの世界は歌って踊って楽しく暮らす。しかし窃取しなければ進化どころか退化してしまう。繰り返しの場面は 退化の表れであり、脳みそ摂取迄の時間が迫っている。環境を比べてみれば、それぞれ「隣の芝は青い」のである。

    この違った世界、個人で見れば生き方(無目的、惰性か否か)であり、社会(国家)で見れば異文化(移民等)といったことを連想。その融和は難しく、いろいろな立場や意見が飛び交っている。わずか百平米の世界、倫理感の欠けた社会は自己中心的で壊滅的とも思えるが、ミミズαにしたら されど百平米という広い地で進化することを模索している。
    自虐的とも思える「なんじゃこりゃ ミュージカル」と銘打って不思議な世界を軽妙に描く。表現し難いことを笑いを交えて表出する、そんな作風に仕上げている。
    次回公演も楽しみにしております。

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    2025/10/26 15:21

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