公演情報
TOKYOハンバーグ「朧な処で、徐に。」の観てきた!クチコミとコメント
実演鑑賞
初演の微かな記憶が、少しずつ蘇って来た。こういう作品だったか・・と。女性劇作家の苦労を描いた秀作、という記憶であったが、劇中の各フェーズに通底するテーマ「人(存在)との別れ」の最もコアな(メインの)フェーズを忘れていた。
劇作家のいる現実の場面以外の場面は、彼女の書く作品の世界であったり、回想される過去だったり、また別の現実の場面だったりするが、後から謎解きされるのが面白い。時に作中人物と作者が対話したり、案が没にされかけた方の人物らがリストラするなと騒いだり、作者の脳内の葛藤・格闘が垣間見えてこれも面白い。ただし先述のコアなフェーズは現実のそれ(彼女の取材先)でありながら、書かれた作品のそれにも見え、実と虚の混濁の具合が、劇全体を劇作家の執筆現場であるかに印象付けている。
その意味で自分の記憶は正しかったと思うが、劇作家自身がその本質的なテーマを問い、問われ、作品を書いている、その図式にもう一つ感動の種があったよう。