公演情報
ティーファクトリー「ロンリー・アイランド」の観てきた!クチコミとコメント
実演鑑賞
今戦争を劇で扱うのは難しい時代になっている。ことに戦争を実際に体験(戦場ではないにせよ、戦争によって直接危険のある場にたった(例えば飢餓とか、集団行動の強制(疎開)とかの)体験のある)人達は非常に少なくなって、体験のない若い人達と言っても70才以下)に戦争の話をすれば、必ず、はぐらかされる思いをする。川村の戦争も、今は間接体験(戦後の混乱)でしかないだろう。前作はインド体験を基礎に書いた作品だったが、観客が、聞いたことのある話(インド)、と体験がある話(空襲や教科書黒塗り)では全然ちがう。別に、そのままをやれと言っているのではない。やはり戦争を扱うなら、観客の想像力を触発してせめて自分が作る物語に必要な戦争状況を観客に納得させなければうまくない。川村はそういうことにも慎重な作家だったが、さすが年を取った。こういうことは言いたくないが、こんな戦場のピクニックみたいな戦場が今の戦場にあるわけはないではないか。川村がやると、これでいいと思う若い作者がどんどん増えてしまう。ピンク地底人や、古川健もその方が楽となれば、そちらに流されるのは当然である。だって、知らないんだもん。それを乗り越えるのが劇作家の務めだろう。川村はアングラ期を受け継ぐ最後の劇作家だが時代とともにあるいい芝居、面白い芝居を求めて、世紀をまたぐ時代を乗り越えてきた。地上はこの作家にとって雑遊の場になったのかもしれない