青年団若手自主企画vol.44「僕らのアルゴリズム」 公演情報 青年団「青年団若手自主企画vol.44「僕らのアルゴリズム」」の観てきた!クチコミとコメント

  • 満足度★★★

    掴みどころのない情景からの今
    たぶんこれは評価が割れる。序盤、その描写はあまりにも曖昧。パンチがない舞台だ。しかし後半からは、ああ、今を生きる現代人の描写だったのだろうか?と曖昧に理解できる。両者の曖昧さはこの舞台の吐き出す世界感で好きか嫌いかに割れる。

    以下はネタばれBOXにて。。

    ネタバレBOX

    姉は好きだった過去の男を忘れられずに強度な自己愛を表現しつつ生きる。一緒に暮らしている弟は中学生からの引きこもりだったが、姉はこの弟に好きだった男の幻影を重ねて弟を自分の思い通りにがんじがらめにして閉じこもらせる。

    一方で河童寿司を経営している河童くんはアルバイトの憂子にお熱をあげるもまったく相手にされない。実は河童を好きな夢子もいるが河童はちょっと違う、と思っている。

    弟や憂子は中学生の頃の虐めや引きこもりなどの過去を引きずりながら今の世界を淡々となるべく他人と深く関わらないように生きていくさまが、物悲しいが、傷を持った者はとかく自分の殻の中で静かに生きようと考えているきらいがある。

    それが正しいかどうかは解らないが、そういった心の機微を描いた作品だったように思う。彼らの内なる世界はあのころより、どんどん他人がいなくなっていく世界だ。決して広がらない世界だけれど、そこに居ることが幸せだったなら、それでいいとも思う。そういう曖昧さを表現した舞台だったように思う。

    しかし、こういった舞台の表現の仕方は後にそれなりの試練も味わうとも思う。誰にでも受け入れられる芝居ではないからだ。それも熟する前の一歩なら数年後の相馬の舞台を観てみたい。

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    2010/11/14 17:03

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