公演情報
ワンアクト・ミュージカル・フェス実行委員会「ワンアクト・ミュージカル・フェスティバル」の観てきた!クチコミとコメント
実演鑑賞
満足度★★★★
この公演は 「1幕物の、3つのミュージカルが火花を散らす。国産ミュージカルの地平を広げるインディーズ発のミュージカル・フェス!」という謳い文句で、同じセットで異なる演出と物語を上演するもの。ミュージカルとして観(魅)せるため、ヘッドセットマイクを(調整)使用しているが 声量をコントロールし安定した音程とリズムで聴かせる。舞台上でピアノの劇伴(奏者は黒衣裳)が情景を豊かにしている。
自分が観たのは「檸檬SOUR」。とても解り易く しかも心に響く内容だ。学生時代に読んだ小説「檸檬」(梶井基次郎/1925年発表)をオマージュしたような作品だが、それを現代風にアレンジしている。小説の冒頭の一文---劇中の台詞にもあるが「えたいの知れない不吉な塊が私の心を始終圧(おさ)えつけていた。焦燥と云おうか、嫌悪と云おうか」が物語の核心。今から100年前の心情は、今も変わらず人の心に巣くう。天気で言えば どんよりと曇った空、色で言えば 灰色。その暗鬱な基調がだんだんと変化していく様子が見所。それを照明の色彩で見事に表している。珠玉作。
(上演時間1時間20分)