満足度★★★
技術は凄い
一見、男女関係のメロドラマ的な物語ですが、その背後にどんどん大きくなって行く中国の歪みが描かれた作品でした。
基本的にはとても分かりやすい説明的な演出で、ラストシーンだけちょっと驚く仕掛けが施されていました。
冒頭の書について語るモノローグが、中盤とラストの場面の伏線になっている構成は巧妙で面白かったです。
物語としては凡庸に感じたのですが、映像や美術の使い方は噂通りにとても素晴らしかったです。役者の動作にリアルタイムに反応するCG映像処理や、さまざまな表情を見せる2層になったセットを活かした素早い転換は圧巻でした。カーテンコールで裏方やオペレーターが10人近く出て来たのですが、やはりこの高度なビジュアル表現にはそれだけの人員を動員しているんだなと思いました。
作品から訴えかけてくるものがあまり感じられず、技術ばかり気になってしまい、演劇というよりショーケースを見ている気分になってしまい、ちょっと残念に感じました。